
クレーム応対では心無い言葉や暴言を浴びせたり、客観性ゼロの主張を続けたりするお客様に出くわすこともしばしば。その都度冷静さを失わず、適切に対処するには、対応する側の心構えも重要です。本記事では、尾形圭子氏の著書『ソツのない受け答えからクレーム対応まで[新版] 一生使える「電話のマナー」』(大和出版)より、電話によるクレーム応対時のコツを紹介します。
クレームは「あなたの問題」ではなく「会社の問題」
〈基本〉
※罵詈雑言を浴びせられたら
「私が責められているのでない」と心のなかで念じる
※早口で苦情をまくしたてられたら
一呼吸おいて気持ちを落ち着かせてから、ゆっくり話し始める(早口になると、感情が入りやすい)
電話に出たとたん、「いったい、どうなってるんだ!」と、受話器から怒声が響くことがあります。あるいは、「ばかやろう」など、日常生活ではめったに聞かない暴言を浴びせられることもあるかもしれません。クレーム対応の経験が浅い人は、こうした罵詈雑言に対して“免疫力”がないため、その言葉だけでヘコんでしまうのではないでしょうか?
しかし、あなたが冷静さを失ってしまっては、クレームはますます拡大します。早期解決を焦って、判断を誤ることは珍しくありません。
そこで、まず自分の気持ちをコントロールしてください。こちらが落ち着いて対応すれば、相手も徐々に落ち着きを取り戻すものです。そのための秘訣は、クレームを自分のこととして受け止めるのではなく、会社の問題として受け止めることです。責められているのは、あなたではないのです。こう考えるだけで、冷静な判断力を取り戻すことができるでしょう。
また、早口で苦情をまくしたてるお客様もいます。すると、ついそのペースに巻き込まれて感情的になってしまうことがありますが、一呼吸おいてから話し始めるようにします。
●責められているのはあなたではない!冷静に状況を確認しようお客様の「感性」が発端の場合は「ていねいにお詫びする」一択
〈基本〉
【店員の接客態度に対するクレーム】
「さようでございますか。たいへん申し訳ございません」
※事実確認ができないので、全面的なお詫びをする
【商品イメージと実物のギャップに対するクレーム】
「さようでございますか。カタログにはお届けした商品の写真を掲載しておりますが、たしかに色合いが違っているようにも感じます。ご迷惑をおかけいたしまして、たいへん申し訳ございません」
※お客様の感性を否定せず、返品などに応じるかどうかを検討する
クレームの原因は、主に「商品」「サービス」「人」にありますが、なかでも接遇に関するクレームは際立って多くなっています。
「昨日、お店に行ったんだけれど、店員さんの態度がなっていない!」
こうしたクレームで注意しなければならないのは、水掛け論にならないことです。店員の態度が本当に悪かったのかどうか、電話を受けた人にはわかりません。同じ会社の仲間としては「そんなはずはない」と、かばいたくなるかもしれませんが、「さようでございますか。たいへん申し訳ございません」と、全面的なお詫びをします。
また、商品カタログを見て商品を注文したお客様から、「写真のイメージと全然違う!」といったクレームが寄せられることもあります。このケースも、お客様の主観によるものですが、その感性を否定することはできません。「さようでございますか。カタログにはお届けした商品の写真を掲載しておりますが、たしかに色合いが違っているようにも感じます。ご迷惑をおかけいたしまして、たいへん申し訳ございません」などとお詫びします。
●重要なのは「事実」ではなく、「感性」の問題であることも多い尾形 圭子
株式会社ヒューマンディスカバリー 代表取締役
