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“データ復旧率95.2%”信じ、業者と「費用10万円超+月5万円」プラン契約も守られず…提訴した原告が業界“初”の勝訴的和解を勝ち取る

“データ復旧率95.2%”信じ、業者と「費用10万円超+月5万円」プラン契約も守られず…提訴した原告が業界“初”の勝訴的和解を勝ち取る

「データ復旧率95.2%」という表示を信じて依頼したのに、データは戻らなかった――。データ復旧サービス「デジタル・データ・リカバリー」を運営するデジタルデータソリューション株式会社(東京都港区)を相手取り、消費者5名が支払い済みの費用の返還や慰謝料を求めた訴訟で、原告1人が6月3日、東京地裁で和解した。

訴訟は3日に和解が成立したAさんを含む5人が原告となっており、これまでに4人の和解が成立。これで原告5名全員の手続きが終わった。

「泣き寝入りしてしまう人が相当数いるのでは」

Aさんと原告側代理人の山中眞人(まさと)弁護士は6月4日、都内で会見を開き、「和解の具体的な金額は守秘義務の対象となっているが、いずれも請求額を丸のみしていただく形での和解。完勝と言っていい」と説明。

判決ではないものの、慰謝料を含む請求がほぼ全額認められた「勝訴的和解」だとしている。

「データ復旧会社を相手とする訴訟で、原告が勝訴的和解をした、おそらく初の事案ではないかと思います。

通常、和解の場合は口外禁止になることが多いため、仮に勝ったとしても一切話せない場合が多くあり、本件でもAさん以外の原告は守秘義務、口外禁止の条件がついているため、記者会見などで発信することはできません。

また、こうした事件では数十万円を取り戻すという請求になるため『そのためにわざわざ弁護士をつけるのか』と考える人もいますし、弁護士の側も『弁護士費用がかかるからやめたほうがいいのでは』と受けない場合があり、結果泣き寝入りしてしまう人が相当数いるのではないかと思います。

ですが、Aさんの場合は『最後(判決)まで争っても構わない』との姿勢を見せたところ、向こう側(デジタルデータソリューション側)も『和解の金額だけは言うな』という守秘義務が課せられたため、金額だけは言えませんが、それ以外はこちらの条件を丸のみし、和解が成立しました」(山中弁護士)

「重症例でも是非依頼してください」と勧誘

原告側の主張によれば、Aさんは2023年4月、外付けハードディスク(HDD)を落下させ、データを消失。3社のデータ復旧会社に依頼したが、いずれも復旧できなかった。

その後同年6月、デジタル・データ・リカバリーのウェブサイトから問い合わせると、「データ復旧アドバイザー」を名乗る担当者から電話とメールが届いた。

Aさんが複数社で復旧不能だったと伝えると、担当者は「高度な技術と実績があるため、重症例でも是非依頼してください」と勧誘。メールには「同機種の復旧実績を持つ技術員がおります」「より高い復旧率での復旧作業を行う事が可能と思われます」と記載されていた。

Aさんは現物のHDDを送付し、初期診断を経て見積書を受け取った。見積書の有効期限は発行日当日のみで、熟慮の機会を持てない期限だった。

価格交渉では当初、デジタル・データ・リカバリーからおよそ90万円を提示され、Aさんが「そこまでの金額は出せない」と伝えると、月額約5万円のクラウドサービスを抱き合わせる形で、10万円以上するプランを契約することになった。

しかし、Aさんが費用を支払った後の同年7月7日、電話でデジタル・データ・リカバリー側は「復旧できなかった」と説明。担当者は「すぐに報告書を作成して送付する」と説明した。

その後、Aさんが繰り返し催促し、約1か月後にデジタル・データ・リカバリーから届いた作業報告書には、初期診断の段階でHDD内部の磁気ディスク(プラッタ)の「第0面に目視可能なスクラッチ(傷)」が確認されていたと記されていた。

原告側は、HDD内部に目視できる傷がある場合は通常「復旧不可」と判断される水準だと指摘。にもかかわらず、契約前にその事実は伝えられなかった。さらに報告書にはAさんのHDD固有の写真はなく、6種類のサンプル写真から「②に該当します」と示されていただけだった。

山中弁護士は会見で以下の通り、比喩を用いて説明した。

「病院で胃カメラを飲んだのに、『結果が出た』と言ってサンプル写真を見せられて『あなたの胃はこの②番の状態です』と言われたら、本当に検査したのか疑わしく思うだろう」

「われわれが国内で一番良い」「世界に4社しかない」

原告側は、デジタル・データ・リカバリーの広告表示が消費者契約法上の「不実告知」(重要事項について事実と異なることを告げる行為)にあたると主張した。デジタル・データ・リカバリーのウェブサイトやスマートフォン広告には「データ復旧率95.2%」と大きく掲げられ、原告らは高い確率で復旧できると誤認したとしている。

録音記録によれば、デジタル・データ・リカバリーの担当者は電話で「復旧率に関してはわれわれが国内で一番良い会社」と述べていた。

Aさんが「データを取れる可能性が高いということで間違いないか」と念を押すと、担当者は「はい」と肯定しつつ「リスクがないわけではない」とも付け加えたといい、原告側は「『可能性』という言葉の多義性を利用した説明だ」と批判。

加えて、Aさん以外の原告のなかには、「世界に4社しかない技術を持っている」との説明を受けたケースもあるという。

一方、被告側は訴訟の中で、初期診断の手順は「重要な技術やノウハウに関する情報にあたる」として詳細説明を控えたとされる。

「これ以上、泣き寝入りする人が減ってほしい」

提訴当時、デジタル・データ・リカバリーのHP上には「復旧率95.2%」とだけ表示されていた。

しかし、6月3日時点では「復旧件数割合」に改められ、「完全復旧割合」と「一部復旧割合」に分けて掲載されている。同年5月の数値は、復旧件数割合91.2%、完全復旧割合58.5%、一部復旧割合32.7%。山中弁護士は「少なくとも完全復旧と一部復旧を分けて表示するようになっただけでも、提訴した甲斐はあった」と語った。

会見でAさんは「大切なデータを失い、藁にもすがる思いで契約した。お金のためにやりたかったわけではない。これ以上、泣き寝入りする人が減ってほしい」と述べた。

デジタルデータソリューション株式会社の広報担当者は弁護士JPニュース編集部の取材に対し「和解にあたっては原告の主張を認めたものではございません」と回答。

「詳細につきましては、本件には守秘義務に関わる事項が含まれるため、ご説明申し上げたい点もございますが、コメントを差し控えさせていただきます。弊社といたしましては、今後もお客様一人ひとりに対して誠実な対応を心がけてまいります。ご理解のほどよろしくお願いいたします」としている。

配信元: 弁護士JP

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