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いじめ「加害者は何一つ失わないが、被害者は…」大人になっても続く“後遺症” 被害経験者らが実態調査実施

いじめ「加害者は何一つ失わないが、被害者は…」大人になっても続く“後遺症” 被害経験者らが実態調査実施

いじめ被害の経験者でつくる「いじめ後遺症ドットコム」は4日、都内で会見を開き、「いじめ後遺症」に関する実態調査の結果を公表した。

調査結果からは、いじめ被害者の9割が、被害から長期間にわたって自己肯定感の低下やフラッシュバック、周囲が自分の悪口を言っているように感じるなどの関係妄想といった「いじめ後遺症」を抱えていることがわかった。

会見には調査を行った同団体の主宰のほか、精神科医の斎藤環氏らが登壇。「いじめ後遺症」への理解や被害者ケアの促進、加害者への罰則を盛り込んだ法制度の見直しの必要性を訴えた。

「いじめ」成人後も続く苦しみ

実態調査は「いじめ後遺症ドットコム」が2021年5月から2026年3月にかけて実施し、いじめ被害の経験者252名の回答を基に分析された。

調査結果によると、いじめ被害を受けた期間は、約半数にあたる49.6%が「5年以上」と回答。被害が発生した場所は98.0%が「学校」であり、閉鎖的な空間で問題が長期化・深刻化していた実態がうかがえる。

また、回答者の9割以上が、いじめが終わった後も心身に不調が続く「いじめ後遺症」を自覚していた。具体的な症状(複数回答)は、「自己肯定感の低下」(84.4%)が最も多く、次いで「フラッシュバック・悪夢」(77.5%)、「周囲が自分の悪口を言っているように感じるなどの関係妄想」(77.5%)が続いた。

後遺症の苦しみは長期にわたるとみられ、後遺症の自覚がある回答者のうち6割が30代以上(40代が2割、50代が1割)だった。またこうした症状は、成人後の就労困難やひきこもりといった社会的な孤立に直結しているという。

会見に同席したジャーナリストの池上正樹氏は、30年にわたるひきこもり当事者への取材経験から、「大人のひきこもり当事者の多くが学校時代のいじめによるトラウマに何十年も苦しんでいる」と指摘。

学校側が被害者に不登校を勧め、加害者を守り、被害者だけが学校を去らざるを得ないケースも複数あると述べ、学校側のずさんないじめ対応が被害者にさらなる負担を強いていると語った。

周囲の支援で後遺症改善効果は2倍以上

調査では、いじめ被害当時に周囲からの支援があったかどうかが、その後の後遺症の改善に大きく影響することも示された。

いじめ被害当時に家庭や学校などから「支援が得られなかった」と答えた人は56.0%に上り、過半数が孤立状態に置かれていた。

一方で、家族や周囲から支援・ケアがあったと回答した層では、いじめ後遺症の改善率が支援のなかった層に比べ2倍以上であることもわかった。

いじめアクティビストの瀬尾りお氏は会見で、被害者が「自分が悪かったのではないか」といじめについて自らを責めることで後遺症が深刻化していると指摘。

精神科医の斎藤環氏も、いじめ対応においては「被害者中心主義」が最も重要だと強調した。

「支援・ケアの目的は、被害者が安心・安全な日常を回復すること。学校や家族には、本人が安心できる環境調整をまずしていただきたい。加害者への指導よりも被害者の安全確保と心のケアを最優先にすべきだ」(斎藤氏)

法制度の限界と加害者厳罰化の必要性

一方、斎藤氏は「加害者はいじめで何一つ失わないが、被害者はしばしば人生そのものを毀損されるという圧倒的な非対称性がある」と説明し、被害の深刻さに見合った加害者への処遇の必要性も示唆した。

2013年に施行された「いじめ防止対策推進法」にも、加害者への罰則規定はない。

こうした現状に前出の瀬尾氏は「フランスでは加害者に罰金刑や禁錮刑が科され、韓国ではいじめの加害履歴が入試に影響する」と海外の先進事例を紹介し、日本でも加害者への厳罰化を含む新たな法制度の設立を求めた。

調査を実施した「いじめ後遺症ドットコム」主宰のイナ氏は、いじめ後遺症について学ぶ機会を学習指導要領に盛り込むことや、国による網羅的ないじめ後遺症の実態調査の実施を要望した。

配信元: 弁護士JP

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