今回は、電車という公共の場で強い不快感を覚えたという2人のエピソードを紹介する。
◆“不正乗車”を繰り返す迷惑客

「窓口にお客さんが来れば改札には立てません。“そこ”を狙う人がいたんです」
その客は回数券を使って電車を利用していたのだが、日付印を押されることを嫌い、駅員がいないときを狙って改札を抜けるのだ。
「毎回、発車の5分前に来るんですよ。私が改札にいない隙を狙って待ち構えていて……。でも、ずっと立っていれば不正はできないから、そんなときは直前に諦めて通ってくるんです」
降車駅でも同様で、改札に隙ができる瞬間を狙っていた。そして、山田さんの勤務する駅に戻ると、すぐには改札を通らずにホームで粘ることもあったようだ。
「5分はホームにとどまっていますね。すでに入場時点で不正をしていたので、回数券には日付印がありません」
◆強い口調で注意すると…
その客は隣駅の大規模な駅までしか乗車せず、駅員がひとりしかいない改札口を狙って通ろうとしていた。日付印が押されていれば不正は防げたが、それを避けて何度も繰り返そうとしたそうだ。
「以前から不満を感じていて、あるとき思わず強めの声で注意したんです。『日付印を押していただいてから通ってください』と……」
その瞬間、客は観念したように「ごめんなさい」と答え、それ以降は不正をやめたという。
「60代くらいの男性でしたが、奥さん(らしき女性)はいつも定期券で電車を利用していました。もし旦那さんが不正乗車を続けて警察沙汰になれば、奥さんは恥ずかしくて電車に乗れなくなったかもしれませんね」
山田さんは責任感から注意をしたが、「同僚たちは、逆上されることを恐れて声をかけられなかった」そうだ。
最終的には隣駅の駅員にも注意を促し、情報を共有することで再発防止につなげたという。

