◆「前回大会の冨安」のような状況は避けたい
本大会まであと9カ月ほど。先に挙げた当落線上にいる選手にとっては、表向きに諸手を挙げて喜べはしないものの、手放しで成長の機会を得られることになる。ただ、それはあくまでもそうなったらいいなという希望的観測で、本来であれば実力のあるメンバーが調子を整えて本大会に臨みたいというのが本音だろう。9カ月あればケガからの回復は見込めるだろうから、絶望的というほどの状況ではない。ただ、回復したとしてもそこまでに試合勘を取り戻した選手としての全快を望むには、時間が足りないという懸念が拭い去れない時期になってきた。それだけでなく、回復が遅れれば前回大会の冨安のように出場時間に制限があるとわかっていても、強行出場させなければならない状況に陥る可能性も出てきている。
早く治せと言っても、早くなるわけではないし、無理をしてさらに悪化させる可能性もある。選手もケガをしようと思ってしているわけでないし、誰よりも早く治ることを願っているはずだ。
◆根本的な解決策を見出す必要が
余談にはなるが、選手らは負傷してしまうほど厳しい環境で常に戦っているといえる。過去に例を見ないほど負傷者が続出しているこの状況は、それだけ多くの選手が厳しい環境で戦い続けているという証でもある。とはいえ、日本代表というチームにとっては、喜ばしい状況ではない。チームとして根本的な解決策を見出さなければならない。
ひとつは負傷者のサポートだ。多くの選手がヨーロッパを主戦場としていることから、日本サッカー協会は2020年にドイツのデュッセルドルフにヨーロッパオフィスを開設した。いろいろな役割はあるが、本大会に向けて負傷している選手らを可能な限りサポートすべきだ。主軸は所属クラブにあり、どこまでできるかは調整が難しいが、可能なかぎり積極的にサポートして早期回復につなげてほしい。

