助成金なくして、プロジェクトは実現できなかった
●助成金を受けるきっかけ
――日本財団の助成金制度を知った経緯や、申請したきっかけについて教えてください。
早川:きっかけは新聞広告で知ったことです。日本財団の「海と日本PROJECT」(外部リンク)に共感したこと、そして以前から探究教育に取り組みたいと考えていて、「駿河湾を教材として活かせるのでは」と思っていたことが大きかったです。
さらに、沼津工業高等専門学校の大津先生とつながったことで企画が具体化し、申請に至りました。
●申請から採択までの流れ
――申請までにどれくらいの時間を要しましたか。
早川:企画が具体化したのが9月半ばで、申請の締め切りがその年の10月だったので、大急ぎで進めました。
●助成金を活かした広がりや対応
――申請時に苦労した点や、助成金を使用した後に必要な処理、報告書の作成などで苦労した点はありますか。
早川:予算書を作成すること自体が初めてで、手探りの部分もありましたが、日本財団のサポート体制が整っていてとても助かりました。
ただ、初年度はプロジェクトの意義を理解していただくのには苦労しました。ですが、子どもたちの成果発表会をご覧いただくことで、成長を実感していただき、意義のある活動だと評価され、継続につなげることができています。
報告書については、写真を多く用い、ビジュアルで伝わりやすくする工夫をしています。毎回、動画とスチールの撮影クルーに入っていただいているので、良い写真がたくさん保存できるのは大きな強みですね。

――助成金を活用して良かった点や、これからの展望・目標、目指す社会の在り方について教えてください。
早川:1年間のプロジェクトを通じて、子どもたちの成長に触れられるのは本当に大きな喜びです。
最近では、卒業生とのつながりを活かす活動も始めました。2025年7月に駿河湾で開催された国際イベント「BLUE ECONOMY EXPO(ブルーエコノミーエキスポ) @Suruga Bay」(外部リンク)には、プロジェクトの卒業生を有志で募って参加しています。
その際に、卒業生に対して行ったアンケートでは、海や深海への興味・関心について「以前と変わらない」「むしろ好きになった」と答えた人が80パーセントを超えていました。ずっと海を好きでいてくれることが、とても嬉しかったですね。
時代は変化していて、もはや「終身雇用が全て」という時代ではありません。だからこそ、自分の「好き」を形にしていける力強さを子どもたちに身につけてほしいと願っています。そして社会全体としても、多様な働き方や職業の在り方を受け入れ、サポートできる体制が広がっていくといいなと思います。
日本財団担当者から見たプロジェクの魅力
最後に日本財団の事業担当者・西井諒(にしい・りょう)さんから海洋文化・研究拠点化推進協議会が取り組む「深海研究スーパーキッズ育成プロジェクトin駿河湾」の魅力について聞きました。
西井さん:日本財団では若者が海に親しむきっかけをつくるための親水体験を含む事業を数多く支援しています。近年多く申請をいただくのが、学校教育では教えることのできない、専門的な内容を学ぶものです。
情報があふれる現代では小中学生が高度な知識にアクセスすることが容易になりましたが、疑問にぶつかった際に周りの大人では回答できないケースも少なくありません。
本事業では海のプロフェッショナルが多く参画することで、若者の知的好奇心に応え、将来の海洋分野をけん引していく人材の開発を目指しており、課外活動だからこそできる学びの場を提供するという独自性を評価し、助成させていただいております。