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宝塚歌劇団の絆【望海風斗さん×和希そらさんインタビュー】「同じ経験をしたからこそ分かり合える」

宝塚歌劇団の絆【望海風斗さん×和希そらさんインタビュー】「同じ経験をしたからこそ分かり合える」

はるかな目標に向かい、ともに切磋琢磨した仲間との絆は永遠。
宝塚歌劇団で充実の青春を過ごした望海風斗さんと和希そらさんは、それぞれに夢を叶え、いま、ともに新しい世界で羽ばたくおふたり。
初共演のミュージカルで、次はなにを目指すのか?
期待と揺るぎない信頼が、すでに生まれていました。

転機には「鐘が鳴る?」
心構えがあれば、自然な流れで

望海風斗さん(以下、望海) 劇団にいた期間はかぶっていて、年に一度の合同公演でご一緒したりもしていたんですが、共演は初めてですね。在団中、『アナスタシア』で娘役に挑戦されたのが印象に残ってて、「こんなにも多彩な表現ができるんだ、素晴らしいな」と圧倒されたのを覚えています。

和希そらさん(以下、和希) いえいえ、恐縮です。私こそ、いつも望海さんの舞台に圧倒されていました。『壬生義士伝』のクライマックスで号泣した記憶が……。

望海 おぉ、ありがとうございます。今回の『神経衰弱ぎりぎりの女たち』では親友役。恋
愛に振り回されながら生きる人たちを描いた作品ですが、登場人物の誰ひとり、人生がうまくいっている人がいない(笑)。でも、格好よくない部分がちゃんと描かれていることが、逆に格好いいなと。

和希 そうですね。恋や愛が人を悩ませたり、ときに狂わせたりもするんですが、そこに人間味があってリアルだなと思いました。日常生活でも、「ヤバい!」と言いながら必死になっている人の様子に、どこか滑稽さを感じることがあるじゃないですか。

望海 確かに。そして、噛み合っていない人たちが、だんだんまとまっていくのも。

和希 噛み合わないのは、それぞれとんでもなく「個」が立っている証拠なんでしょうね。そんな人物になりきりながら、作品を通して、自分なりに「愛とはなにか?」を見つけていきたいなと思っています。

望海 自分を変えるタイミングに気づくというのも作品のひとつのテーマなんですが、そういうことって、ありました?

和希 近年だと、やはり劇団を辞めるタイミングかなと思います。先輩方がよく「鐘が鳴る」っておっしゃってましたが……。

望海 そうそう!私は鳴らなかったなぁ。楽しみにしてたんですけど(笑)。

和希 私も鳴った感覚はないのですが(笑)。あるとき、ここですべてやり切ったなと、パッと「よし辞めよう」と。

なにはなくとも、挨拶と返事!
教わったことがいま、確かな力に

望海 退団してからは、環境が大きく変わりましたよね。男性役から女性役になるとか、共演者に男性もいるとか、いつも「はじめまして」のカンパニーで、終わったらお別れしなきゃならないとか……。

和希 そうですね。退団して2年と少しなんですが、いまでも毎回、新鮮な気持ちです。

望海 劇団だと先輩、同期、後輩がはっきりしていたでしょう?でも、外に出てみると、年齢は若いけど芸歴は長い方や、その逆の方とかもいらっしゃって。「この方は上の方?同期?後輩??」って、つい迷っちゃうんです。

和希 私は安全策でいちばん年下の方にも敬語で話したりするのですが、「なぜ敬語?」って、不思議な顔をされることもありました。

望海 アハハ。でも、劇団の先輩がいらっしゃる場では、やはりどこか特別な繋がりみたいなものも感じますね。同じ経験をした同士だからこそ、わかり合える部分があるというか。退団後の最初の作品では、同じカンパニーのなかで先輩方が温かく受け止めてくださったことが、本当にありがたかったです。

和希 おひとりいてくださるだけで、安心感が違うんですよね。直接ご相談はしなくても、迷ったときに、「わかるよ」と温かい視線で見守ってくださるのを感じたり。私、とんでもなく人見知りなので。

望海 私も。慣れるまでにすごく時間がかかるんですけど、黙ってると怖く見えるらしくて(笑)。だから、劇団で教わったとおり、挨拶と返事だけはきちんとしてます。やっぱり、いい作品を作るためにも、打ち解けた状態でありたいじゃないですか。

和希 そうですね、挨拶と返事!私、毎回毎回「どうしよう」って壁にぶち当たってて、今回も最後までそうなると思いますので、望海先輩に見守っていただけたらと。

望海 そうなの?「あ、やるっス」って即答するような感じかと思ってた(笑)。でも、そんな過程を見られるのも嬉しいので、私も横で壁にぶち当たろうと思います。一緒にがんばろうね。

[舞台] ミュージカル 『 神経衰弱ぎりぎりの女たち』

突然、恋人に去られた女。元恋人の元妻と新しい女の出現に翻弄されるなか、親友に大事件が……。スペインの巨匠、ペドロ・アルモドバルの傑作映画がミュージカルに。「原作のラテン感にブロードウェイらしい華やかさを加えた音楽を存分に楽しんでいただけると思います」と望海さん。秋山菜津子、長井短、髙嶋政宏ほかが共演。

原作:ペドロ・アルモドバル(映画「神経衰弱ぎりぎりの女たち」)
脚本:ジェフリー・レーン 音楽/ 歌詞:デイヴィッド・ヤズベク
翻訳/訳詞/演出:上田一豪
出演:望海風斗 秋山菜津子 和希そら 長井短
溝口琢矢 黒川桃花 遠山裕介 髙嶋政宏 ほか
【東京公演】 6月7日(日)~21日(日) 日本青年館ホール
ほか、福岡、大阪、愛知公演あり

俳優
望海風斗さん
1983 生まれ。2003 年、宝塚歌劇団に入団。’17年から’21年に雪組トップスターを務める。第33回読売演劇大賞、第76回文化庁芸術選奨、文部科学大臣新人賞を受賞ほか、受賞多数。

俳優
和希そらさん
1992年生まれ。2010年、宝塚歌劇団入団。宙組、雪組で活躍し’24年に退団後、人気ミュージカル『9t o 5』『SI X 』『梨泰院クラス』『SPY&FAMILY』『ジキル&ハイド』に出演。

photograph: Chihaya Kaminokawa styling: Makiko Kato( 望海さん), Kumiko Masuda[A2]( 和希さん) hair & make-up: yuto( 望海さん), MYOKEN[Three PEACE]( 和希さん) text: Michiko Otani

大人のおしゃれ手帖2026年6月号より抜粋
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