初夏の光が街を照らすこの季節、東京の美食シーンにも、鮮やかな旬の息吹が芽吹き始めている。
実力派グループによる旗艦店、大阪発の注目店、気鋭のシェフの新機軸など、いま訪れるべき新店だけを厳選。
2026/2/11 OPEN
客席からシェフの手元が見えるようで見えない、絶妙な構造のカウンター
交差点の喧騒を少し避けるかのように、西麻布の路地裏に密やかに立つビルに、わずか8席のみのカウンターイタリアンが誕生した。
都内でさまざまなタイプのイタリアンレストランを展開する「カステリーナ」グループの、最新店にしてハイエンドな業態となるここ『CAiTO』は、統括料理長である内田恒太さんが自ら腕を振るう。
大阪『ポンテ・ベッキオ』でキャリアをスタートし、代官山『TACUBO』など有名店で研鑽を積んだ内田さん
一斉スタートのおまかせコース(¥20,900)で紡いでいるのは、吟味した素材とそれらを育む生産者へのリスペクト、そしてゲストへのホスピタリティだ。
コースの1品目は、グループの看板メニューであるフォアグラのフランにいぶりがっこ、いちじく、フランボワーズヴィネガーを合わせカカオの生地に詰めた「フォアグラ」
完全放し飼いで育った「西崎ファーム」の鴨、「KURKKU FIELDS」の水牛モッツァレラ、「苗目」のハーブ類といった、日本各地から集める優れた食材がすぐそこで料理へと昇華されていくのを、調理中の音や匂いとともに体感する時間はなんとも贅沢。
“スライサー界の『フェラーリ』”で極薄にカットした生ハムが主役の一品
白身魚と新ジャガイモのマンテカート、スカモルツァチーズのフリットに、無添加で24ヶ月以上熟成させた群馬「上州空風ハム」をふんわりとあしらった「プロシュット」。
製麺したての自家製パスタと旬の恵みのハーモニーを愉しむ
彩りも鮮やかな「桜海老」。
たまご入りの生地で作った生パスタ「タヤリン」に、駿河湾で揚がった見事な桜エビと菜の花という、食卓に春の息吹を伝える食材を合わせて。
備長炭でじっくりと焼き、仕上げには高火力の黒炭で香ばしさを纏わせる「鴨」。赤ワインソースのほか黒にんにく、梅干し、黒こしょうなどを使ったペーストとともに
支配人・小口 豪さんのペアリングも秀逸で、圧倒的な高揚感に包まれる夜になるはずだ。
2.温かなカウンターフレンチ。大阪の一ツ星が東京で新たなステージへ
『ORIGINe(オリジーヌ)』@竹橋
2026/2/22 OPEN
広々とした厨房で存分に腕を振るう吉田さん
2017年に大阪・天満橋にオープンし、確かな人気を得ていたフレンチレストラン『Origin』。
オーナーシェフの吉田 徹さんは、6年間のフランス修業中にはパリの名店『George V』でスーシェフまで務め上げた実力派。
2022年からは連続してミシュランの一ツ星も獲得し順風満帆の中、今年2月に新天地・東京へ移転。店名も『ORIGINe』と改め、新たなスタートを切った。
全長6mのカウンターには、アフリカの「アサメラ」という美しさと堅牢さを備えた木材をセレクト。こちらのカウンター席のほか、会食にも適するシックな8席の個室も備えている
「これまでの店名はラテン語でしたが、“e”をつけて『起源』『出発点』という意味のフランス語に。心機一転の決意を込めました」と吉田さん。
場所は変われど、素材を尊重し“素材以上の味つけをしない”姿勢は不変。そして、魅力を引き出すための手数は惜しまない。
「ミル貝と若ごぼう、セロリのサラダ仕立て」は、新鮮なミル貝の甘みと大阪の伝統野菜「八尾若ごぼう」の食感や香りが鮮烈な印象を残す
一品一品、味わいと火入れ、そして盛り付けに心を砕く。また、フードロスにも配慮し「美味しく食べ切る」工夫が随所に。
アイコニックな「鳩とフォアグラのオペラ」。フォアグラは季節に合わせて仕立てを変える。
岩手「石黒農場」から届く「石黒さんのほろほろ鳥」。胸肉の皮と身の間に詰め物をし、ジュのソースで。付け合わせには白い肉と相性の良い伊勢海老を。料理はコース(¥20,000)より
豊かな食後感に包まれる料理と、心ほどけるもてなしが待っている。
3.あの“長谷川稔”の次なる挑戦はラーメン。探究心が産んだ一杯の凄み
『鶏出汁と麺 存在意義/WA.JIN』@白金台
2026/3/1 OPEN
ラーメン店らしからぬクールな趣の空間。昼の予約は同時間に3名まで
自身の名を冠したイノベーティブレストラン『長谷川稔』を筆頭に、イタリアン、串揚げなどを幅広く手掛ける料理人、長谷川 稔さん。新たにラーメン界に進出を果たした。
白金トンネルそばのスタイリッシュなマンションの2階、という密やかな立地のその店は、昼は完全予約制のラーメン店『鶏出汁と麺 存在意義』、夜はアラカルトで中国料理を楽しんだあと〆にラーメンを、という『WA.JIN』の二毛作だ。
こちらが「鶏白湯味噌ラーメン」¥2,200。箸置きの豆皿に入っているのは“味変”用の自家製辛味噌。昼のサイドメニューには、土鍋炊きの「おひつご飯」(¥300)が
自信作のラーメンは「鶏白湯味噌ラーメン」1種類。北海道出身で味噌ラーメンに愛着がある長谷川さんが、中国料理一筋20年以上の料理長・宮川達郎さんと編み出したのは、麺・スープ・具材とすべてに妥協なしの一杯。
香り高く高加水の特注麺に新鮮な地鶏から取ったスープや鶏油、マンガリッツァ豚のラードと背脂、臭みゼロの「闘うもやし」etc.素材の存在意義が生み出す高次元の味わいは圧巻の一言だ。
手前より「ローストポークの自家製煮詰め醤油ソース ラー油がけ」(¥2,100)、「しっとり蒸し鶏の葱生姜ソース レモン添え」(¥1,800)は、いずれも夜のアラカルトより。
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