脳トレ四択クイズ | Merkystyle
内部通報したら4日後に「懲戒」ほのめかされ…オリンパス子会社の社員が会社・役員に「1000万円」損害賠償請求

内部通報したら4日後に「懲戒」ほのめかされ…オリンパス子会社の社員が会社・役員に「1000万円」損害賠償請求

「不正や不適切行為への懸念があれば声を上げること」——そう従業員に求めるグローバル行動規範を掲げる企業で、実際に声を上げた社員が、その4日後に懲戒処分の可能性を突きつけられた。

大手医療機器メーカー「オリンパス」の子会社、オリンパスマーケティング株式会社に勤務する従業員Aさんは6月4日、同社らに対し損害賠償1000万円を求める訴訟を提起した。

Aさんは現在、別件として降格・配置転換の無効を争う訴訟も係争中だ。今回の損害賠償請求は、その訴訟とは別に、通報行為への報復そのものを問うものとして新たに提起した。弁護士費用などの経済的な事情などから代理人は立てず、本人訴訟で臨むという。

翌5日の記者会見でAさんは、「内部通報を制度として社員に奨励しながら、実際は真逆の対応を取っており問題だ」と述べた。

「ジョブ型」で約200人降格、基本給4割減

問題の発端は、2023年4月のジョブ型人事制度の導入に伴う大規模な降格人事にある。ジョブ型とは、年功序列ではなくスキルなどに応じて業務や給与を決める雇用制度を指す。

Aさんによると、会社側は移行にあたり、社員向け説明会で人事等級は原則として引き継ぐと説明していた。旧制度の非管理職はP1〜3とS1〜5の計8段階に分けられていた。8段階の等級だったが、新制度ではG8〜G12の5段階に簡素化され、例えば旧制度のP2は同等のG9へ移行すると示されていたという。

ところが2022年12月、40〜50代の中堅社員が相次いで上長に呼び出され、新卒社員相当のG11への引き下げを内示される事態が発生。

一例では、P2からG9へ移ると説明されていた社員が、G11への降格によってG9と比べ標準基本給が約4割減となった。職場も、医療機器の説明用データベースを構築する部署から、新設された「エリアサポーター」へ配置転換され、業務は製品の運搬や修理品の回収といった、これまでの経験を生かせない単純作業が中心だったという。

関係者の推計では、全社員約1300人のうち約200人が降格の対象となり、うち約40人が希望退職に応じて会社を去ったとされる。

新制度の設計を主導したオリンパスのX人事副本部長(当時)は、降格社員との面談で「ちゃんと理由が伴っていないと、ただの人事権の濫用だ」と語ったとされる。

Aさん自身も約14年にわたり評価が合格水準を維持していたにもかかわらず、最終的に新入社員相当まで降格させられたと主張する。訴状には、降格を機に精神疾患を発症した社員が複数おり、自殺未遂に至った例も生じていると記されている。

「通報努力義務を課す企業が懲戒を示唆」

こうした人事の是正を求め、Aさんは2025年2月28日、オリンパス株式会社の代表取締役や取締役らに対し、人事権の組織的な濫用を指摘する内部通報をメールで行った。

しかし、その4日後の3月4日、Aさんに、人事戦略部門を統括するダイレクターのY氏から、通報が、就業規則違反や懲戒事由に該当する可能性があると警告するメールが届いた。

Aさん側が問題視するのは、通報内容の当否ではなく、通報という行為そのものに制裁の可能性が示された点だ。

同社のコンプライアンスヘルプライン運用規程では、不正を知った従業員に通報を促す「通報努力義務」が課され、通報を理由とする不利益取扱い(懲戒処分を含む)は禁じられているという。グローバル行動規範にも、誠意をもって報告した人が報復を受けないよう措置を講じる旨が明記されている、とAさんは指摘する。

Y氏のメールには「今後も同類の行為が行われた場合においては、事実確認をもとに会社規程に則り、厳正に対処する」と記されていた。Aさんはこれを「1回目の懲戒示唆」と位置付ける。

さらに1か月後の同年4月、報道や人事評価について確認行為を行った翌日の4月18日、再び同様のメールが届いたとされ、「2回目の懲戒示唆」だと訴えている。訴状によれば、いずれの警告も事実確認や弁明の機会を一切経ておらず、判断の工程を欠いた「構造的瑕疵」があるという。

4700人が視聴する社内会議で…

2025年7月18日には全社規模の経営陣と従業員が直接対話を行うタウンホールミーティングが開かれた。Aさんが公開の場で問題を指摘しようとしたところ、司会者が発言を制止したという。マイクを引き継いだ最高人事総務責任者(CHRO)のZ氏は、詰問を重ねたうえで「個人のメリットに関わるような、そういうお話をされているのではないのかな」と発言したとされる。

この発言は、全社員約4700人が視聴する場で行われた。Aさんはこの言動がパワーハラスメントに当たり、名誉を著しく毀損されたと主張している。

なお、弁護士JPニュース編集部ではオリンパスマーケティング株式会社に対しコメントを求めたが、現在まで回答は得られていない(6月8日16時時点)。

配信元: 弁護士JP

あなたにおすすめ