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ひき逃げ事件で“執行猶予中”に無免許運転、中国籍の男が逮捕 「二度と運転しない」法廷での誓いから1年…「実刑」の可能性は?

ひき逃げ事件で“執行猶予中”に無免許運転、中国籍の男が逮捕 「二度と運転しない」法廷での誓いから1年…「実刑」の可能性は?

2025年5月、埼玉県三郷市で飲酒後に小学生4人をひき逃げし、重軽傷を負わせた罪で執行猶予付きの有罪判決を受けた中国籍の男(43)が、その猶予期間中である今月3日、無免許運転の疑いで現行犯逮捕された。前回の裁判で裁判官は、男が述べた「二度と車を運転しない」という反省の言葉を執行猶予の理由の一つとしていた。

法廷での誓いを反故にするこの行為は、今後の量刑や執行猶予の取り扱いにどのような影響を及ぼすのか。鷲塚建弥弁護士の解説をもとに、法的な帰結を探る。

前回の執行猶予判決は「誤り」だったのか

今回の再犯が明らかになったことで、前回の執行猶予付き判決は適切だったのかという疑問が生じる。この点について鷲塚弁護士は、後に再犯が判明したからといって、前件の執行猶予判決を「誤りだったと断ずるのは相当ではない」と指摘する。

そもそも執行猶予を付すか否か(刑法25条1項)は、被告人の反省の有無のみで決まるものではない。犯した行為そのものの重さ(犯情)に、前科の有無、被害弁償・示談の成否、再犯のおそれといった事情(一般情状)を総合し、裁判所が裁量で判断する。「二度と運転しない」という反省の弁は、この一般情状の一つにすぎず、本来は補助的な位置づけだ。

前件のひき逃げ事件は、飲酒運転の発覚を免れようとする隠蔽的な類型(過失運転致傷アルコール等影響発覚免脱罪)と救護義務違反が問われたもので、被害者も児童4名に及ぶなど、犯情は決して軽くない。それでも執行猶予となった背景には、被害者との示談経過や民事上での賠償等を含めた報道に表れない事情などが考慮された可能性が高いと考えられる。

以上を踏まえると、当時の判断が裁判所の裁量を逸脱していたとまでは言いにくい。一方で鷲塚弁護士は、結果的にみれば「言葉だけの反省では再犯防止を担保できないことを浮き彫りにした事案であった」と分析する。

「誓いの反故」は今回の量刑にどう影響するか

法廷での誓いを破って無免許運転に及んだ事実は、本件での量刑判断に影響し得る。

無免許運転自体の法定刑は「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」(道路交通法117条の2の2第1号)と定められている。初犯であれば略式手続による罰金で処理されることも少なくないが、本件は事情が異なる。

鷲塚弁護士は、内容は違えど道路交通法関連の前科・前歴があり、自らの誓いを翻した本件のような事案では、正式に起訴され、拘禁刑が求刑・選択される可能性が相応にあるとの考えを示す。

執行猶予が取り消され、実刑となる可能性は?

今回の無免許運転が、前件の執行猶予期間中に行われた点も重要だ。前件の執行猶予がどう処理されるかは、今回の無免許運転にどのような刑が言い渡されるかによって決まる。考えられるシナリオは主に3つある。

①本件について「執行猶予の付かない拘禁刑(実刑)」が確定した場合

前件の執行猶予は法律の規定により必ず取り消される(必要的取消し、刑法26条1号)。この場合、ひき逃げ事件の懲役2年6月を服役したうえで、今回の刑にも服することになり、身柄拘束は長期に及ぶ。

②本件が「罰金」にとどまった場合

前件の執行猶予を取り消すか否かは、裁判所の裁量に委ねられる(裁量的取消し、刑法26条の2第1号)。鷲塚弁護士は、猶予期間中に自らの誓いを翻しての再犯であることからすれば「取消しが認められる可能性は相応にある」とみている。

③本件について「執行猶予(再度の執行猶予)」が付された場合

前に執行猶予付きの拘禁刑に処せられた者が、再度罪を犯して2年以下の拘禁刑の言渡しを受け、「情状に特に酌量すべきもの」がある場合、執行猶予を付することができる。これを「再度の執行猶予」という(刑法25条2項)。

再度の執行猶予が付された場合、前件の執行猶予は取り消されず、維持される。しかし、「情状に特に酌量すべきもの」の要件はきわめて厳しい。重大な犯罪を理由に免許を取り消された後、法廷での誓いを破って運転に及んだ本件において、この要件を満たすことは相当に困難であり、その可能性は低いと考えられる。

総合すると、重大犯罪による免許取消し、法廷での「二度と運転しない」との誓い、そしてその猶予期間中の無免許運転という一連の経緯に照らせば、今回の事件が罰金では済まず、正式に起訴されたうえで拘禁刑が選択され、その結果として前件の執行猶予が必要的に取り消されて実刑に至る可能性は「決して低くない」(鷲塚弁護士)ということだ。

配信元: 弁護士JP

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