◆ミスコンは“他薦”がきっかけだった

須賀ありさ:大学時代、バレーボール部のマネージャーをしていました。そこで知り合った信頼できる東京大学の先輩が推薦してくれたらしいのです。
――らしい?
須賀ありさ:東大大学院の入学式の翌日に、インスタグラムのDMが届いて、「他薦があったけれど、ミスコンに出場する気はありますか」という趣旨でした。私が東大大学院に進学したことを知る人はそこまで多くない時期でしたので、いたずらかなとも思ったのですが、蓋を開けてみたらその方が推薦してくれたということでした。
――即決でしたか。
須賀ありさ:いえ、東大の素晴らしい環境にどっぷり浸かって、勉学一筋で行こうと思っていました。実際、エントリーまでにひと月ほど時間をいただき、参加するとしたらどのようなことが求められるのか面談をしていただきました。
◆誰かの力になれる弁護士を目指す
――悩んだ末にミスコンに出ようと思ったのは、なぜですか。須賀ありさ:何事も、やらない後悔をしたくなかったんです。正直、毎日重たい教科書を抱えて学校へ行き、長時間勉強をして、帰って疲れてソファーで寝てしまう日もありました。そんな生活に加えてミスコン活動などできるのだろうか――と悩みました。けれども、いろいろな人が私を知ってくれて、思っていることを届けられる機会になるだろうと考えました。
――ミスコンに出場した人たちのその後は、芸能界やアナウンサーなどが浮かびますが、須賀さんはどんな展望があるのでしょう。
須賀ありさ:弁護士になりたいと思っています。私が言われて最も嬉しいのは、「ありさのおかげで〇〇できた」という言葉です。私の存在や助力が、ささやかでも誰かの力になり、ひいては生活の質を上げることに資するとすれば、これに勝る喜びはないんです。弁護士として、誰かに寄り添う働きができればと考えています。
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まっすぐ見返してくる目力が印象的な女性だ。冒頭に記した須賀さんのポストは、自らを成り立たせてくれた慶應義塾“愛”ゆえの、魂の咆哮だろう。意志を明確に表明できる自立した女性がミスコンに名を連ねる健全さも心地良い。活字から滾る彼女の正義に、拍手を送りたい。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

