◆関西高校は江浦監督の現場復帰で名門再建へ
その一方で、2014年の夏を最後に甲子園から遠ざかっているのが、3校目のK、関西である。関西はこれまで春夏合わせて甲子園でベスト8が6度、そのうち3度でベスト4入りしている名門だ。特に2002年に就任した江浦茂監督が常勝チームを築き上げ、上田剛史(元ヤクルト)らを擁した2000年代半ばには5季連続で甲子園に出場。広陵とともに中国地方の両雄に君臨していた。
ところが近年はかつてのように有望選手がなかなか集まらず。県内でも上位進出はままならない状態で、今夏は2回戦敗退という屈辱を味わっていた。
そんな関西に希望の光をともしたのが、他でもない江浦監督である。江浦監督は、2018年春に監督を退任し、顧問に就任していたが、今夏の新チーム結成とともに8年ぶりに現場復帰。すると、夏の間に東西の名門校と相次いで練習試合を重ね、チームの底上げを図ってきた。
その結果、秋季県大会初戦では、優勝候補筆頭の岡山学芸館を延長タイブレークの末に撃破。準決勝の玉島商戦はコールドで敗れたが、これはエースの連投による疲労の影響が大きかった。
◆1年生中心の“新生・関西”が存在感
そして中国大会への出場を懸けた3位決定戦で、関西は岡山理大付と対戦。この大一番を横綱相撲で完勝し、見事に5年ぶりとなる中国大会へ駒を進めた。「関西の新チームは、エースの存在が大きいですね。制球力にはやや課題があるものの、テンポ良く低めに集める投球ができる技巧派投手です。内外野の守備もよく鍛えられており、この秋はエースを救うシーンが何度もありました。
打線は上位から下位までムラがなく、岡山理大付との3位決定戦では長打も量産していました。このチームの魅力は、バッテリーをはじめとして、打線の主軸に1年生が名を連ねているところ。1年生に伸びシロたっぷりの選手が多い印象です。また、そんな下級生に刺激を受けたのか、数少ない2年生も秋季大会では奮起していましたよ」(前出・A氏)
もし1年生中心の新チームがセンバツ出場を決めるようなことになれば、来春の入部希望者の数も増え、その質も一気に上がるだろう。

