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クールビズで“短パン解禁”、すね毛が「きもい」「不快」との声もあるが… 就業規則で「男性のみNG」にすることは可能?

クールビズで“短パン解禁”、すね毛が「きもい」「不快」との声もあるが… 就業規則で「男性のみNG」にすることは可能?

東京都庁は今年度から従来のクールビズをさらに拡充した「東京クールビズ」の取り組みを開始しており、その一環としてハーフパンツ(短パン)での勤務も解禁している。

報道によると、短パン姿で出勤した男性職員たちからは「快適だ」との好評を得ている。しかし、SNSでは「きもい」「不快だ」といった声が出ており、また一部のメディアがそのような意見を大げさに取り上げていた。もっとも、実際に都庁にクレームが来ていたわけではないという。

従来、日本社会において成人男性の短パン姿は見慣れないものだったのは確かだ。都庁も「業務内容やTPOに応じて柔軟に認める」という扱いである。

都庁が解禁したことを受けて、民間でも短パン出社を解禁する企業が増えると予想される。

一方で、「不快」という意見やTPOへの配慮から、女性社員にはハーフパンツやミニスカートなど脚部を露出する服装を認めながらも、男性には従来通りの長ズボン(スーツパンツ、チノパン、スラックスなど)しか認めない、というルールを制定する会社が出るとも考えられる。

そもそも、企業が職場で服装規定を設けることはどこまで可能なのか。また、男女差のあるルールを設けることは「差別」にあたらないのか。労働問題に詳しい田中幸徳弁護士に聞いた。

「男性だけ短パン不可」は男女雇用機会均等法違反のおそれ

まず、企業が従業員の服装や身だしなみに関して規定を設けることについて、法律上の明確な根拠はない。服装に関する事柄は、個人の人格や自由に属する事項だとされているためだ。

しかし、企業の円滑な運営のために必要であるなら、身だしなみや服装に対する制約も許容されるという。

「男女で異なる服装基準を設けることも、企業の円滑な運営のために必要なものといえれば、認められると考えられます。

しかし、男女雇用機会均等法は、労働者に対する性別を理由とした差別を禁止しています(同法5条、6条)。

また、同法5条の『その性別にかかわりなく均等な機会を与える』の解釈について、厚労省の通達では『男性や女性といった性別にかかわらず、等しい機会を与えることをいい、男性または女性一般に対する社会通念や平均的な就業実態等を理由に男女異なる取扱いをすることはこれに該当しない』とされています。

したがって、『男性は短パン不可、女性は可』という規定が、単に(男性の短パン姿は女性と異なり『不快』であるなどの)社会通念に基づくものであれば、均等法の趣旨に抵触するおそれがあります」(田中弁護士)

「東京クールビズ」のポスター(東京都・環境局の公式サイトから)

「すね毛」問題に対処する方法は?

日本社会で男性の短パンが不快だという声が出る背景には、女性と異なり脱毛処理をしていない人が多い男性の脚部は「すね毛」が目立つ、という要素がある。

顧客や社員からの「不快だ」というクレームに対処するため、「男性がハーフパンツを着用する場合は、見苦しくならないようにすること」または「清潔感を保つこと」という規定を設ける方法も検討できるかもしれない。

しかし田中弁護士によると、企業が就業規則に服装規定を設ける場合でも、「見苦しくならない」「清潔感」のような抽象的で曖昧な判断基準は避けたほうがいいという。

従業員にとっては「どのような服装が規定違反となるか」の基準が不明確だと判断に迷うことになる。また、規定違反の対象となる範囲が広すぎたりすると、従業員の服装選択の自由が過度に制限されるおそれがある。

就業規則に違反すれば指導や懲戒の対象となる可能性もあるため、従業員が、就業規則に違反していないか、自分で判断できることが大切である。

また、規定による制限の内容は、当該制限の必要性に照らして、制限の目的が合理的であり、相当な範囲内のものであることが必要であるという。

「すね毛については、『ひげを剃ること』という規定についての裁判例が参考になります。裁判例では、この規定を『無精ひげ』や『異様・奇異なひげ』といった不快感を伴うものと限定解釈されています。

同様に、『男性職員のひげや長髪は不可とする』という規定は『顧客に不快感を与えるようなひげや長髪は不可とする』という内容に限定すると解釈されています。

また、ひげを生やしていたことを主要な考慮事情として人事考課を低評価したことが違法と認定された事例もあります。

すね毛も、外見に制限を加えるという点では、これらと同様の扱いになると考えられます」(田中弁護士)

服装制限には合理的な理由が必要

前述したように、原則として、従業員の身だしなみや服装に対する制約は、企業の円滑な運営のために必要であるなら認められる。しかし、それも無制限に認められるわけではなく、業務との関連において必要かつ合理的なものでなければならない。

たとえば、バス運転手の制帽着用義務は、乗客に対して乗務員であることを認識させて信頼感を与えるという目的を達成するため必要かつ合理的であることから認められている。また、医療現場において従事者に所定の服装(白衣、メディカルキャップや手袋など)を求めることも、衛生上の理由から当然に認められている。

一方で、男女別の規定については、その必要性や合理性を慎重に検討する必要がある。また昨今では、トランスジェンダー(※)など、性自認の問題に対して企業側の配慮不足や合理性の欠如が違法とされた事例もある。

※生まれたときに医療機関や社会から割り当てられた性別と、自認する性別が違う人

「『男性のみにハーフパンツや脚部を露出する服装は禁止する』という規定を導入する企業には、慎重な説明が求められるでしょう」(田中弁護士)

配信元: 弁護士JP

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