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32歳サラリーマン「年収600万円」なのに…3LDKマンションの住宅ローンを組んだ5年後、税務署から「一通の封筒」が届いたワケ。開封後の恐怖のはじまり【IFAが解説】

32歳サラリーマン「年収600万円」なのに…3LDKマンションの住宅ローンを組んだ5年後、税務署から「一通の封筒」が届いたワケ。開封後の恐怖のはじまり【IFAが解説】

住居購入時に発生する高額な世帯支出を考慮し、一部所得税を控除する「住宅借入金等特別控除」制度。嬉しい制度ですが、確定申告での控除申請画面には“ある注意書き”が施されています。控除の適用条件を満たさない場合、容赦ないペナルティが待っているため注意が必要です。松田さんの事例を通し、独立系資産運用アドバイザー(IFA)の亀井岬氏が注意喚起します。

3LDKマンションで稼ぐ秘密の“副収入”

32歳の会社員、松田裕太さん(仮名)は、いつものように電車に揺られながら、窓の外を流れる桜並木を眺めていました。この通勤路を使うようになってもう2年。転職を機に実家近くのアパートに引っ越してから、毎日片道1時間の電車通勤が日課となっています。

5年前、裕太さんは人生で最も大きな買い物をしました。都心から少し離れた住宅地にある、築浅の3LDKマンション。住宅ローンの返済期間は35年、変動金利0.475%です。

当時の年収は600万円。銀行の担当者は「十分に返済可能な範囲です。しかも住宅ローン控除で年間数十万円程度の税金が戻ってきますから、実質的な負担はさらに軽くなります」と笑顔で説明してくれました。

そのマンションには現在、松田夫婦ではなく、裕太さんらと同世代の若い夫婦が住んでいます。月12万円の家賃収入が、月々9万8,000円のローン返済を上回る計算です。

「まあ、悪くない副収入だよな」

購入してから5年、賃貸に出してからは3年が経過。最近の不動産価格の上昇で、6,000万円で購入したマンションの評価額は、1億円近くになっています。裕太さんはときどき、不動産サイトで近隣の物件価格をチェックしては、密かに満足感を覚えていました。

「このまま順調に価格が上昇し続ければ、純資産1億円の富裕層の仲間入りも夢ではないかもしれない……」

確定申告の時期になると、裕太さんは毎年e-Taxで住宅ローン控除の手続きを行います。銀行から送られてきた残高証明書をみながら、年末残高を入力。その際、画面に「本人が居住することを前提とした制度です」という注意書きが表示されます。しかし、「税金の計算なんて、システムが自動でやってくれるのだから、わざわざ調べる必要もないだろう」と、特に気に留めることもなく、送信ボタンを押していました。

税務署から届いた一通の封筒

春の陽だまりが心地よい午後のこと。妻の咲さん(仮名)から、ダイニングテーブルの上に置かれた茶封筒を渡されました。差出人は「〇〇税務署 個人課税部門」。裕太さんは、一瞬息をのみます。

封筒を開けると、A4用紙が4枚。

【住宅借入金等特別控除の適用について(お尋ね)】

1枚目のタイトルを見た瞬間、裕太さんの顔から血の気が引きました。

拝啓時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。さて、あなたが申告された住宅借入金等特別控除につきまして、以下の事項について確認させていただきたく、ご連絡いたします。

当該不動産について、第三者による居住の事実が確認されております。住宅借入金等特別控除は、所得税法第41条に基づき、取得者本人が居住することを前提とした制度であり、賃貸等による第三者の居住は適用要件を満たさないものと考えられます。

文章は丁寧な敬語で書かれていますが、その内容は容赦なく核心を突いています。

つきましては、下記事項についてご記入の上、同封の返信用封筒にて令和〇年〇月〇日までにご返送くださいますようお願いいたします。なお、虚偽の記載をされた場合、国税通則法第68条に基づく重加算税の対象となる可能性があります。

一、現在の居住者について(氏名、続柄、居住開始年月日)

二、賃貸借契約の有無及びその内容(契約期間、賃料月額)

三、賃貸収入の有無及び金額(年間総額)

四、あなたが当該不動産に居住していない理由

五、住宅借入金等特別控除を申告した理由

六、融資元金融機関への賃貸に関する相談・承諾の有無

最後の項目をみて、裕太さんの不安はさらに大きくなります。

「税務署だけではない。銀行にもこの事実が知られてしまうのではないか。住宅ローンの契約書には『自己居住用』という条件が明記されていたはず。もし銀行が賃貸に出していることを知ったら、契約違反として一括返済を求められるかもしれない。数千万円を超える残債を一度に返済できるはずがない……」

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