日本航空(JAL)国内線の客室乗務員(CA)2人が滞在先で社内規定に反して飲酒し、フライトの出発が遅れた問題で、国土交通省は2026年6月12日、JALに対して行政指導にあたる厳重注意を行ったと発表した。

国交省の発表では、2人が会社側の事情聴取に対して嘘をついて事案の隠蔽を図ったことを指摘。乗務不可の判断に時間かかった点も「安全管理システムが十分に機能していない」として、7月17日までに再発防止策の報告を求めた。JALは全役員と事案を起こしたCAに対する処分も決めた。
会社側の聞き取りに「虚偽の報告」、「規定に違反した事実を隠ぺいしようとした」
今回の事案を起こしたのは50代女性CA(乗務員A、1992年入社)と30代女性CA(乗務員B、2019年入社)。乗務員Aは客室の責任者にあたる先任客室乗務員(チーフパーサー)で、25年10月に昇格したばかりだった。
2人は26年5月23日7時40分広島発羽田行きのJL252便(ボーイング767型機)に乗務予定だったが、前日にホテルのラウンジで飲酒。社内規定では乗務開始の12時間前(18時40分)までに飲酒をやめる必要があったが、それ以降も飲酒を続けた。
乗務当日朝、乗務員Bはホテルロビー集合直前に体調不良を申告し、欠勤。乗務員Aは検査でアルコールが検出され、会社として乗務ができないと判断した。
国交省が発表した厳重注意文書では、乗務員Aは「時間経過によるアルコール濃度の数値の低下を期待し、宿泊先出発前に実施すべき事前検査(社内検査)を空港出頭まで遅らせた」上に、乗務員A、Bともに「貴社(編注:JAL)の聞き取りに対し虚偽の報告を行った」と指摘。この2人が「乗務前日の飲酒について、規定に違反した事実を隠ぺいしようとした」と認定した。
鳥取三津子社長は月額報酬の30%を2か月カット
JALで乗務前に行うアルコール検査には、羽田・成田以外の滞在先ではホテルで行う(a)出社前検査と(b)事前検査、出発空港のオフィスや搭乗ゲート付近で行う(c)乗務前検査、の3段階がある。
乗務員Aは、ホテルロビー集合時に同僚のCAから(b)を行うように催促されたものの行わず、そのまま空港に向かい、空港で行った検査でアルコールが検知されたことが明らかになっている。国交省はこの点も問題視し、
「組織としてこのような状況を把握できず乗務可否を速やかに判断するには至らなかったことは安全管理システムが十分に機能していたとは言えない」
とした。
厳重注意を受けて、JALは鳥取三津子社長ら全役員の報酬減額の処分を発表。鳥取氏は月額報酬の30%を2か月、安全面のトップにあたる安全統括管理者を務める中川由起夫・常務執行役員と中野淳子・客室本部長は20%を1か月、それ以外の取締役・執行役員は10%を1か月減らす。
JALは役員以外に、CAの2人への処分も明らかにした。乗務員Aは懲戒解雇、乗務員Bは停職。停職期間は「社内規定にのっとって決定」し、社外には非公表だとしている。
JALでは25年にも機長が飲酒トラブルを起こしてフライトを遅らせる事案が起き、国交省が厳重注意している。この機長も懲戒解雇されている。
(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)