
ひとつひとつの素材や形に暮らしが映し出される「かご」。
かれんさんが各地で出合った手仕事には、その土地の文化や作り手の体温が宿っています。
飾るだけでなく、道具として使ってこそ生きる、かごの魅力をお伝えします。
国ごとの文化が表れた暮らしに息づく手仕事

どの国にもその土地に根ざした伝統工芸品がありますが、とりわけ手仕事の素晴らしさを肌で感じられるのが、かごではないでしょうか。
私は旅に出るといつも市場を訪ねて、その国ならではのかごを探し歩きます。
かごは暮らしと密着した道具だからこそ、それぞれの文化が色濃く表れていて、素材も編み方も、形もさまざま。ヨーロッパにはマッシュルームやリンゴを収穫するかごがあり、タイなら川魚を捕るときの背負子(しょいこ)やお米を蒸すためのかごに出合う。

かつては家庭で編まれることも多かった、ごく身近な日用品なんです。気づけばわが家に、100個を超えるかごが集まっていて、今回撮影したのはその一部です。
ふたつ並べた細かい文様のかごは、インドネシア・カリマンタン島のもの。
手の込んだ編み目を見ると、その技術の確かさに驚かされます。

キッチンの棚に並べているのは、持ち手が弓のような形をしたタイの伝統的なかご。
デコラティブなデザインが特徴的で、お客様がいらしたときにフルーツを盛ってお出しすると、食卓がぱっと華やぎます。
タイのヤーンリパオというつる性の植物で編むかごや、王室御用達で知られる「プラニー工房」の凝った編み目の竹かごも、私の大切なコレクションです。

残念ながら、こうした複雑な編み方ができる作り手は減っているそうですが、今もなお、手間のかかる仕事を続けている方がいると知ると、うれしい気持ちになります。
かごは単に飾るだけでなく、日常で使ってこそ、その魅力が光るもの。
とくに使い道を決めずに買っても、あとから自然と役割が見つかるんです。
植物のプランターカバーにしたり、ゲスト用のスリッパやタオルをまとめたり……。
かごの持つ〝包容力〟も、私が心惹かれる理由のひとつです。
暮らしの風景が浮かぶ“ 卵専用” のかごも
にわとりの形をしたキュートなかごはオブジェではなく、タイで見つけた“卵専用”のもの。
「これを下げて、卵を取りに行くのかな……?と想像するのも楽しいもの。その土地の暮らしを思わせる、意外な意匠に出合えるからこそ、かご探しはやめられません」
photograph: Shoko Hiraoka styling: Asuka Ishii text: Hanae Kudo
大人のおしゃれ手帖2026年6月号より抜粋
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