◆崩壊した救援陣を救った“配置転換”
しかし、レギュラーシーズン終盤にドジャースは救援陣が崩壊。テコ入れの一貫として佐々木をリリーフ起用する方針を打ち出すと、これが功を奏した。プロ入り後は先発経験しかなかった佐々木だが、救援投手として見事に順応。今やドジャースブルペンで最も信頼のおけるリリーバーとしてロバーツ監督から全幅の信頼を勝ち取っている。
そして、そのロバーツ監督はフィリーズとの第4戦で、佐々木のイニング跨ぎを敢行。しかも3イニングにも及ぶ、まさに“ギャンブル”采配だった。
最後は相手守備のミスに乗じた形で勝利したドジャースだが、間違いなく佐々木がそれ呼び込んだ。春先とは一変した自信に満ち溢れた表情で1球1球を投げ込むたびに、ドジャースファンのボルテージも上がった。
しかし、ドジャースは勝利を収めたものの、ロバーツ監督の采配は諸刃の剣だったともいえるだろう。もしドジャースがこの試合を落としていれば、中1日で臨む第5戦に佐々木は投げられない可能性もあった。
◆ドジャースが得た最大のアドバンテージ
まさに結果オーライとなったロバーツ監督の継投策だが、勝利を収めたことで大きなアドバンテージを手にした。ドジャースは次のリーグ優勝決定シリーズ(以下、LCS)まで中3日と十分な間隔を空けて臨むことができるからだ。しかし、ドジャースがLCSで対戦する相手はまだ決まっていない。ナ・リーグ地区シリーズのもう一つの山は、ブルワーズがカブスに2連勝して幕を開けたが、カブスが土壇場から2連勝を飾り、逆王手。最終決戦は中1日空けた12日(日本時間)に行われる。
その第5戦はお互いに総力戦で臨むことになるだろう。そのため、どちらが勝利を収めても、さらに中1日で臨むLCSでは投手陣のやりくりに苦労する可能性が高い。休養十分で臨むドジャースにしてみれば、大きなハンデをもらう形となる。

