
「周りの若い世代はとっくに始めているのに、50代の自分が今さら新NISAをスタートしても遅すぎるのではないか」と、一歩を踏み出せずにいる人は少なくありません。しかし実際は、50代こそ、老後資金のラストスパートをかけられる「人生最後の貯め時」です。今回は、酒井富士子氏の著書『60分でわかる! 新NISA 超入門[改訂新版]』(技術評論社)より、50代以降の新NISA活用プランをみていきましょう。
元本割れを防ぐ…50代からの新NISAは、「最低15年」継続を
新NISAの利用は50代からでも決して遅くはありません。特に50代後半は、老後の資産形成へラストスパートをかけたい時期です。定年前の「人生最後の貯め時」に新NISAを利用しない手はありません。
図表1に、50代から新NISAのつみたて投資枠で積立を始める場合の一例を示したので、見ていきましょう。
[図表1]50代からの投信積立は15年間以上継続する 出典:『60分でわかる! 新NISA 超入門[改訂新版]』(技術評論社)より抜粋
50歳からの55歳までの「教育費負担期」は、子どもの教育費の支払いが残っており、家計に余裕がないので、月2万円の積立金を捻出します。一方、55歳から60歳までの「子ども独立期」では、家計に余裕も出てくるため、つみたて投資枠の上限額である月10万円を積み立て、老後資産をしっかり形成したいところです。
60歳から65歳までの「継続雇用期」は、現役時代と比べて収入が減少するため、月3万円ほどに積立額を落として積立を続けます。
収入が減った段階で積立をやめてしまう人もいますが、積立期間が10年以下の場合、相場次第では元本割れの可能性も生じます。そこで、できる限り積立期間を延ばすためにも、積立額を縮小するなどして15年は積立を続けるようにしましょう。
また、50代での積立では、資金の保有状況によって選ぶべき投資対象が変わります。定期預金や保険などの元本保証の資産を、老後資金の一つの目安といわれる2000万円以上保有している場合は、株式型100%での積極運用、手持ち資金が少ない場合はバランス型を組み込んだ安定運用がおすすめです。
まとめ
□継続雇用で収入が減っても、投信積立はやめずに継続しよう
□手持ち資金が豊富なら株式型100%で積極運用してもOK
60代までは温存…計画的に取り崩し、老後資金を長持ちさせる
60代になると年金生活が近づき収入が減るほか、若いころと比べて病気やケガへのリスクがだんだんと高まっていきます。そこで必須となるのが、医療費・介護費への備えです。
図表2は、60歳以降の医療費・介護費への備えのプランを、60~75歳、75~85歳、85歳以降の3つの時期に分けて示したものです。それぞれの時期に適した備えのプランを具体的に見ていきましょう。
[図表2]60代以降は生活資金の補てん以外にも医療・介護への備えが必要 出典:『60分でわかる!新NISA超入門[改訂新版]』(技術評論社)より抜粋
60~75歳は、多くの人はまだまだ元気な時期ですが、病気やケガによって医療費や介護費が発生することも十分に考えられます。とはいえ、より負担が増える75歳以降に向けて、この時期の医療費、介護費については新NISAやiDeCoは温存して、預貯金などの「手持ち資金」で備えたいところです。
75~85歳は、後期高齢者の世代に突入し、健康不安が顕著になる時期です。医療費や介護費の負担も増していくため、それらを手持ち資金で補えなくなった場合には、新NISAで貯めていた老後資金の一部を充ててもよいでしょう。ここから先にかかる費用に向けて、60歳時点で定年退職金を新NISAのつみたて投資枠で運用し、資金を増やすのも一考です。
85歳以降になると、病気やケガによって自立した生活が困難になり、介護施設への入居を検討する人も出てくると思います。入居金は大きな出費となりますが、これまで新NISAやiDeCoで貯めていた老後資金を現金化することで対応しましょう。
まとめ
□75歳までの医療費・介護費は、極力「手持ち資金」でまかないたい
□75歳以降の医療費・介護費は、iDeCoや新NISAを現金化して対応
酒井 富士子
株式会社回遊舎 代表取締役
経済ジャーナリスト
ファイナンシャル・プランナー
