ボンネットに男性を載せたまま発進するタクシーを撮った動画がX上で取り上げられ、「あまりにも危険だ」と批判が相次いでいる。

男性は前に投げ出されて打撲を負ったといい、警察が出動する事態になった。タクシー大手「日本交通」(東京都千代田区)は、「あってはならない」と取材に説明して謝罪し、運転手への処分を検討していることを明らかにした。
「ヤバい、ヤバい」「危ない、危ない」
雨が降る夜中に、T字路交差点で止まったタクシーの前で、黒いTシャツを着た男性が何か呼びかけている。
タクシーは、何度かクラクションを鳴らすが、男性は動かない。すると、タクシーは動き始め、男性は、ボンネットの上に身を乗り出す。
「ヤバい、ヤバい」「危ない、危ない」
歩道から通行人らが声を上げるが、タクシーは、ゆっくり走り出した。この様子に、通行人から苦笑が漏れる。タクシーは、そのまま交差点を過ぎ、ボンネットに腹ばいで載った男性は、歩道に目を向ける。
「110番! 110番!」
男性が右手を上げてこう叫ぶが、タクシーは、クラクションを鳴らしながら、なおも走って行く。別の動画では、タクシーの側面に「日本交通」のロゴが見えた。傘を差した通行人らしき男性がスマホで動画を撮りながら、タクシーを追い駆けていく。「ダメだよ」と周囲から声が出たところで、映像が終わっていた。
これらの動画は、2026年6月10日ごろから、X上で出回った。次々に転載されて、16日ごろに、大きな話題になった。トラブルの原因ははっきりしなかったが、「一歩間違えれば大事故」「殺人未遂になる可能性もある」などと危険過ぎるタクシーへの非難が相次いだ。
騒ぎを受けて、ボンネットに載っていた男性とみられるXアカウントが9日、状況を説明した。
それによると、男性は9日午前0時50分ごろ、東京・六本木の交差点近くで車を運転していて、車線を変えようとしたところ、客を降ろしたこのタクシーが発進してぶつかりそうになったという。
「トラブルの原因については、警察が捜査しています」
男性がクラクションを鳴らしたところ、タクシーもクラクションを鳴らし、運転手が「どけよ!」と怒鳴ったという。男性は、車から降りてクレームを入れようとしたところ、今回のようなトラブルになったと説明している。
男性の車に設置されていたというドライブレコーダーの映像も投稿された。それを見ると、男性がタクシーを止めて話そうとしたが、そのまま走り出して、男性がボンネットの上に載る姿が映っていた。
投稿では、400メートルほど走って、停車中の別のタクシーに衝突し、男性は前に投げ出されたとしている。
タクシーを運行している日本交通の広報室は6月17日、J-CASTニュースの取材に対し、運転手が男性をボンネットに載せたままタクシーを走らせた事実を認めた。運転手は、40代の男性社員だとし、ボンネットに載せられた男性とみられるXアカウントが投稿した状況は、ほぼ間違いないとした。
「タクシーから客が降りているところで、一般ドライバーの方とトラブルになったと聞いています。トラブルの原因については、警察が捜査していますので、詳しい状況は分かりません。しかし、運転手の言動は不適切で、著しく危険な行為だったと認識しており、誠に申し訳ありません。しかるべき処分を検討しています。警察の捜査には、しっかりと対応したいと考えています」
男性は、体のどこかに打撲を負ったといい、警察が傷害の疑いで調べていると聞いていると説明した。運転手は、自ら110番通報したとし、逮捕されずに任意で調べを受けているという。
運転手がなぜ男性をボンネットに載せたまま発進したのかについては、動機は警察が調べているとして明らかにしなかった。
「一般ドライバーの方に対しては、運転手が所属する営業所が対応しています。あってはならないことで、社内での教育を徹底して、再発防止を図りたいと考えています」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)