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DAZN「月額980円」サッカープラン炎上 、実は“年縛り”で「W杯期間だけの契約」は不可…誤認招く可能性も“違法ではない”ワケ【弁護士解説】

DAZN「月額980円」サッカープラン炎上 、実は“年縛り”で「W杯期間だけの契約」は不可…誤認招く可能性も“違法ではない”ワケ【弁護士解説】

6月13日、スポーツ動画配信サービス「DAZN」を運営するDAZN Japan Investment合同会社は、「DAZN Soccerの一部期間でのご契約についてのお詫びと今後の対応について」と題したリリースを発表した。

サッカーコンテンツ専用の年間プラン「DAZN Soccer」(以下「DAZNサッカー」と表記)について、2026年5月30日から6月11日午後8時までの期間中、「一部月額プランと受け取れる記載がなされていたことが発覚」したとして、謝罪するとともに、同期間中の申し込みについては利用状況等を確認のうえ返金の対応を個別に実施していく方針を示した。

「DAZNサッカー」は、最初の3か月間が月額980円、その後は月額2600円となる総額2万6340円の「年間プラン」(途中解約は不可)。しかし申し込み画面の表記のわかりづらさから、これを1か月ごとに解約できる「月額プラン」と誤認する利用者が相次ぎ、ネット上がざわついた。

DAZNはこれまでも、ウェブサイト上で退会手続きを進めると電話やチャットでの連絡を求められたり、退会理由の選択や引き留め画面が表示されたりすることから、解約が困難だという点が批判されてきた。

こうしたDAZNのサービス設計やサイトの表示については、消費者を誘導・操作して不利益な選択をさせる「ダークパターン」であるとも指摘されてきた。今回の「DAZNサッカー」のような料金表示は、違法ではないのだろうか。

現在も「わかりにくい」と炎上続く申し込み画面…どこが変わったのか?

【画像】現在の申し込み画面(6月17日に弁護士JPニュース編集部がスクリーンショットを取得)

DAZNがリリースを発表してからも「現在も月額980円と受け取れるわかりにくい表示が続いている」「なぜ年間総額2万6340円と表示しないのか?」といった指摘が相次ぎ、炎上状態は続いている。

実際にDAZNの申し込み画面を確認したところ、「サッカー」プランについては「¥980」と大きく記載され、その右に打消し線の付けられた「¥2600」が小さく記載されている。下には「最初の3ヶ月間割引、以降は月額¥2600」とも記載されている。

一方、「サッカー」プランの説明文は「年間プラン。FIFA ワールドカップや、国内・海外のリーグなど、DAZN のサッカーのすべてがここに。」となっている。また、申し込み画面の下部には「年間プラン(月々払い)」とも書かれている(【画像】を参照)。

つまり、支払は「月々」だが、年間通じて契約しなければ「最初の3ヶ月間割引」の月額980円は適用されず、月額2600円となる。

このような表示方法では「月額980円で利用できるワールドカップ期間中の6月から7月だけ契約して、月額2600円となる前に解約してしまおう」などといった想定で申し込みを行う人が出ることが容易に想定できる。つまり、現在のDAZNの申し込み画面も、「ダークパターン」に近い状態といえる。

むしろ気になるのは、5月30日から6月11日までに存在しており、現在はなくなっている「一部月額プランと受け取れる記載」とはどのようなものであったか、という点である。

DAZNは「一部月額プランと受け取れる記載」が具体的にどのようなものであったかについて、公式サイトなどで発表を行っていない。また弁護士JPニュース編集部はDAZN Japan Investment合同会社に問い合わせたが、17日時点で回答はない。

そこで、6月11日以前にXに投稿されたポストを調査したところ、複数のアカウントが、当時の申し込み画面の画像を投稿していることを発見。それらの画像を確認すると、「スタンダード」プランと「サッカー」プランの説明文の内容が、現在のものとは異なっていることが判明した。

6月11日以前、スタンダードの説明文には「DAZNをお得に楽しむなら“年間”プラン」と記載されていたが、現在は「DAZNをお得に楽しむなら“この”プラン」になっている。一方、当時の「サッカー」プランの説明文は「FIFA ワールドカップや、国内・海外のリーグなど…」で始まっており、冒頭の「年間プラン。」の記載はない。

つまり、6月11日以前は、消費者が「スタンダードには年間プランと書かれているが、サッカーは記載されていないから、サッカーは年間プランではない」と誤認する可能性もある申し込み画面になっていた。

現在の申し込み画面もいまだに月単位での解約ができないことがわかりづらい表示になっているとはいえ、相対的に「改善」されたといえそうだ。

消費者にとって不利な要素も表示する義務はあるが…

DAZNの契約申し込み画面に法的な問題はないのか。景品表示法(※)に詳しい杉山大介弁護士は、「打消し表示」の理論が関わってくると指摘する。

※正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」

景品表示法は、事業者が商品の広告などで「特別セール」「50%割引」のように消費者にとって有利な要素を強調する表現(強調表示)を使う場合、その有利な要素が全ての対象に無条件・無制約に当てはまるわけではないとき(例:期間限定である、一人につき一個までしか購入できない、一部の商品は対象外である)には、その条件や例外、つまり消費者にとって不利な要素も、一般の消費者がわかりやすく適切に認識できるように表示することを求めている。

この、有利な要素の「強調表示」に対して不利な要素も表示することを「打消し表示」という。

「DAZNの『サッカー』プランの申し込み画面の場合、『月額980円』が消費者を誘因する『強調表示』であるのに対して、『年間契約のみ』『4か月目以降は2600円になる』などの情報が『打消し表示』の部分となります。

景品表示法においては、打消し表示について、単に広告に記載されているというだけでは足りず、一般の消費者がその記載を認識可能になっているかどうかも問われます。

たとえば、WEBページの最下部に記載されており、画面をスライドしないと見られないような場合、打消し表示は記載されていなかったのと同等の扱いを受けます。

このようなケースでは、著しく消費者を誤認させる広告であったとして、景品表示法5条2号における『有利誤認表示』に該当し、違法性が問われることになります」(杉山弁護士)

現在のDAZNの申し込み欄では、サッカーが「年間プラン」であることは、画面上部にある説明文の冒頭に記載されている。また、最初の3か月が980円だが以降は2600円であるという点も、両方の金額を消費者が画面内で同時に認識することが可能なかたちで記載されている。

杉山弁護士によると、これらは打消し表示の模範的な方法であり、景品表示法を意識した記載と考えられるという。

一方、前述した通り、11日以前には「年間プラン」の表記は下部にしか記載されていなかった。ただし、申し込み画面をスクロールしたり別の画面を開いたりせずとも、隅々まで目を通せば確認可能な状態ではあった。

「11日以前の表示は、現在よりも、消費者の誤認を引き起こしやすいものといえます。景品表示法に違反しているとまではいえない可能性もありますが、契約申し込み画面として望ましくない形式であったことは確かです。

DAZNが11日以前の申し込みについては返金などの対応に応じているのも、法的なリスクをなくすことを目的にしているのでしょう」(杉山弁護士)

DAZNに制裁が科される可能性はある?

今回のような契約申し込み画面に法的な問題があると判断された場合、事業者に公的な制裁が科される可能性はあるのだろうか。

「仮に景品表示法違反と評価されるような表示があった場合、DAZNのように取引規模も大きい会社については、行政処分の対象となっても不思議ではありません。

前述した有利誤認表示に該当する場合、消費者庁による措置命令だけでなく、課徴金の納付命令が出される可能性もあります。

また、近年の法改正では規制が強化されており、悪質なケースについては刑事罰も視野に入れた制度設計になっています」(杉山弁護士)

もっとも、杉山弁護士は、今回のDAZNのケースについて、少なくとも申込ページに関して景品表示法に基づく制裁が科される可能性は低いと考えている。

「前述したように、現在の申し込み画面では『年間プラン』であることや、4か月目以降は月額2600円になることが、一般の消費者にも認識できるかたちで表示されています。

また、問題となった期間中の契約についても、DAZN側は返金などの対応を行う方針を示しています。

そのため、表示方法について一定の疑義が生じる余地はあるとしても、本件について景品表示法に基づく行政処分や課徴金納付命令などの制裁が発生する可能性は低いでしょう。

なお、私がチェックしたのは新旧の申込ページだけなので、他の広告が行われていた場合の評価についてはわかりません」(杉山弁護士)

結局のところ、「わかりづらい」という声がいくら出ても、今回のDAZNの申し込み画面を違法と断ずるのは難しい。そしてDAZNに限らず、合法的な範囲でありながら消費者を誘導・操作して不利益な選択をさせる、ダークパターンに近い表示手法を行っている事業者は数知れない。

消費者としては、広告や申し込み画面で大々的に提示されている有利な情報だけでなく、適用条件・期間・解約の可否など自分にとって不利になりかねない情報も丁寧に確認しながら、安易な購入や申し込みは控えて慎重に判断することが重要だろう。

配信元: 弁護士JP

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