東京都府中市の府中市美術館にて、今月23日(火)から28日(日)まで「府中刑務所アート展 2026」が開催される。
主催はこれまでも「刑務所アート展」を手掛けてきた一般社団法人Prison Arts Connections(PAC)。今年は、府中刑務所との共催による初めての地域連携展示となる。入場無料。
アートを通じて「塀」を越える
刑務所で服役中の受刑者をはじめ、刑務所と関わる人々から広くアート作品を募集し、展示する「刑務所アート展」。2022年からこれまで3回開催され、全国40か所近くの刑務所から集まった約450作品を延べ3000人近くが鑑賞してきた。
本展の位置づけについて、PACの共同代表理事で、本展のディレクターも務める鈴木悠平氏は、「よく聞かれることですが、加害者の更生支援や再犯防止といった単一の社会的な目標のために展覧会を企画しているわけではありません」として、こう話す。
「作品を投稿する作家、運営、そして来場者、それぞれが刑務所や犯罪、被害の回復や加害者の処遇について考えたり、想像力を向けたりする、対話の姿勢そのものを大切にしています。
もちろん、結果としてアートを通じたつながりや共感が、誰かの回復や社会復帰につながるのであれば、それは喜ばしいことです。ただ、単一・共通のゴールを設定して、その手段としてアートや展覧会を位置づけてしまうと、かえって表現や対話の幅が狭まってしまったり、回復や社会復帰へのプロセスの個別性や複雑性が見落とされてしまったりするおそれがあります」
展覧会の名称を「受刑者アート展」ではなく「刑務所アート展」と名付けたのにも理由がある。
「特定の属性や肩書きによらず、刑務所という制度や環境から生まれる表現を広く集めて展示したいと考えて、『刑務所アート』と名付けました」(鈴木氏)
実際に今年は、府中刑務所の職員やその家族からも作品が寄せられているという。
気になる展示内容は?
今回の展示は、大きく3つの内容で構成される。
①府中刑務所内からの作品
今回の展示に合わせ、府中刑務所内で募集した絵画・俳句・書などの作品を展示。受刑者および職員からの応募作で構成される。開催直前の6月19日まで府中刑務所内で作品の応募受付が行われていた。
②絵画クラブとの共同制作作品
昨年、府中刑務所内の絵画クラブにPACが計3回訪問し、ワークショップを実施。その成果として生まれた共同制作の大型作品を展示する。同作品は昨年11月に府中刑務所が開催した地域向けの文化祭でも展示され、来場者が直接書き込む参加型の試みも行われた。塀の内と外を越えた制作プロセスを伝える写真パネルとともに展示される予定だ。
③過去3回の「刑務所アート展」応募作品
府中刑務所以外の全国各地から集まった作品の中から、一部をセレクトして展示する。
鑑賞後「心の動きを大切にしてほしい」
作品には、作品名やペンネーム、作品紹介としての本人のコメントは展示されるが、作者の肩書や立場はわからないようになっているという。
「作品から『この人はどんな人だろう』『どんな思いで書いたのだろう』といった想像が生まれてくると思いますが、私たちは『こう感じてほしい』『こうあるべきだ』といった正解を押し付けたいわけではありません。
見た方それぞれに、作品や展示を見て生まれた心の動きや感情、出てきた言葉を大切にしていただきたいです」(鈴木氏)
「刑務所アート展」では、展示会場で集めた感想を、会期終了後に制作者へフィードバックしている。普段は交流を持たない塀の内と外、アートを通じた“対話”を体験してみてはいかがだろうか。
■開催概要
「府中刑務所アート展 2026」
会期:2026年6月23日(火)〜6月28日(日)
- 初日6月23日(火)は14:00開館(設営状況により前後する可能性あり)
- 最終日6月28日(日)は15:00閉館(撤収作業のため)
開場時間:10:00〜17:00
会場:府中市美術館 1階市民ギャラリー(〒183-0001 東京都府中市浅間町1丁目3番地、都立府中の森公園内)
入場料:無料
主催:一般社団法人 Prison Arts Connections
共催:府中刑務所、リマインダーズ・プロジェクト
後援:府中市
助成:公益財団法人 三菱財団、アーツカウンシル東京〔芸術文化による社会支援助成〕
アクセス:JR中央線「国分寺駅」から京王バス「天神町幼稚園」下車 徒歩8分、JR中央線「武蔵小金井駅」または京王線「府中駅」から京王バス「天神町二丁目(府中市美術館)」下車 徒歩3分
お問い合わせ:一般社団法人Prison Arts Connections info.prisonartsconnections@gmail.com

