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フルタイムで「月20万円程度では、とても暮らしていけない」最低賃金労働者が2割の現実…「年収200万」が恒常化する日本の末路

フルタイムで「月20万円程度では、とても暮らしていけない」最低賃金労働者が2割の現実…「年収200万」が恒常化する日本の末路

フルタイムで働いても、手元に残るのは月3〜4万円——。最低賃金で働く人が、いまの日本で「人として暮らせる」水準にあるのか。

全国労働組合総連合(全労連)系の労働者と研究者による共同研究会「労研」が、国民生活の最低限保障――いわゆる「ナショナルミニマム」の実現を求め6月19日に会見。

労務管理を長年研究してきた黒田兼一明治大学名誉教授は、「フルタイムで働いても月20万円程度の給料では、とても暮らしていけない」と語った。

月160時間フルに働いても約20万円

「ナショナル・ミニマム」とは、イギリスの社会学者・ウェッブ夫妻が1897年に提唱した概念で、労働者に生産者や市民と同等の生活水準を保障するという考え方を指す。

具体的には①最低賃金②労働時間の上限③労働環境の衛生・安全基準④義務教育の4項目から構成されており、その後「8時間労働制」や、英国の「ゆりかごから墓場まで」と呼ばれる社会保障制度へと発展。

日本国内においても、2010年の「厚生労働白書」では「ナショナルミニマムとは、国が憲法25条に基づき全国民に対し保障する『健康で文化的な最低限度の生活』水準である」と位置付けられた。

だが、日本の現実は、「ナショナル・ミニマム」の理想と大きく隔たっている。

黒田氏によれば、最低賃金の全国平均は時給1121円で、月給に換算すると17万円弱にとどまる。最も高い東京でも時給1226円で月160時間フルに働いても約20万円にしかならず、税金や社会保険料、光熱費、家賃などの固定費を差し引くと「3〜4万円しか手元に残らない」と指摘している。

また、黒田氏は、所得の偏りを0から1の数値で示す指標「ジニ係数」(1に近いほど格差が大きい)に触れ、税や社会保障による再分配を行う前の「当初所得」でみた数値が0.58まで悪化し、「南アフリカやブラジルに匹敵する」と述べた。

中央大学名誉教授の米田貢氏も「1985年の労働者派遣法制定以降、当初600万人程度だった非正規雇用労働者は、2000万人を超え、現在は労働者全体の35〜40%弱に上っている。今や年収200万円以下の労働者が全体の約20%を恒常的に占め、80歳になっても働かざるを得ない高齢者が増えているが、世界でこんなにめちゃくちゃな国はない」と語った。

「最低賃金1700円への引き上げは国の義務」

米田氏は、現代日本の貧困の核心を「労働力市場で等価交換が行われていないこと」にあるとみる。かつては「普通に40年間働けば子どもを育てられる金額を稼げる」状況があり、日本も勤労福祉国家を目指した時期があった、と振り返った。

だが、時間給でボーナスもない非正規雇用の働き方が広がり、年収200万円台が当たり前になったと指摘する。

黒田氏が「最大の欠陥」と呼ぶのが、最低賃金が全国一律でない点だ。最低賃金はもともと業者間の協定から始まり、後に法律となった。

かつては4大工業地帯に産業が集中していたが、いまは全国どこにでも産業があると黒田氏は言う。

「コンビニの商品は全国どこでも一律の値段なのに、コンビニで働く人の賃金は地域によって異なる」。地域別の最低賃金は歪であり、見直すべきだとした。地方からの人口流出と東京一極集中も、最賃が一律でないことと農林水産業の衰退が背景にあると労研は分析している。

では、どうすべきか。全労連の調査では、月151時間働くとして暮らしに必要な月収は27万〜28万円とされ、これを満たすには時給1700円程度が必要になるという。

黒田氏は中小企業は労働者の約7割を雇っており、「中小企業で働く労働者の賃上げが進まなければ意味がない」と強調しつつ、「最低賃金を現在の全国平均1121円から、全国一律1700円程度まで引き上げる義務を国は負っている」と述べた。

労研には現在、全労連(全国労働組合総連合)および東京地方労働組合協議会(東京地協)など計20団体が賛同を表明。20~30人程度の研究者も参加しているといい、6月27日には学習集会を予定している。

全国一般労働組合東京地方本部の山田博樹中央執行委員長は「現状が放置されるならば、日本の社会そのものの根底が覆されていく。今回の集会を恒久的な運動の出発点にしたい」と語った。

配信元: 弁護士JP

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