リゾマンにはデメリットもある、しかし…安藤さんが下した決断
安藤さんの心は大きく揺さぶられました。
それもそのはず、熱海はもともと安藤夫妻にとってお気に入りの場所。住んでいる横浜から車で1時間程度とアクセスがよく、現役時代から年に数回訪れてリゾート気分を楽しんでいたゆかりのある土地です。
Bさんからは管理費などの維持費として月に4万円ほどかかると説明を受けたものの、夫婦で旅行に行くと1回で2〜3万円の宿泊費がかかります。
「この物件を別荘にして、月に2回通えば元が取れるな」
一般のマンションと比べると管理費は割高ですが、Bさんから「100万円で譲れるのはいましかない」と耳打ちされると、不安よりも期待が勝ります。
「投資も老後の夢も同時に叶うなら、いましかないかもな……」
オーシャンビューに心を奪われ、リゾマン購入を決断
その後、安藤さんは妻を説得し、旅行を兼ねて熱海の物件を内見することにしました。
あまり浮かれてはならないと、事前に「リゾマンは維持費が高い」「売却しづらい」などのデメリットについて調べていた夫婦ですが、実際に現地を訪れると、その印象は大きく変わります。
部屋に入った瞬間、窓一面に広がるオーシャンビューに、二人は心を奪われました。
「わあ……いつものホテルより、ずっといいじゃない!」
妻もこの物件を気に入り、「この眺めが100万円で買えるなら」と、安藤さんはその場で購入を決断しました。
二拠点生活で“理想の老後”を満喫していた安藤夫妻だったが…
リゾマン購入後は月に2回以上足を運び、リゾート地ならではの暮らしを満喫。またリゾマン購入をきっかけに新しい交友関係も生まれ、地元の人々との交流を楽しむ機会も増えました。
近くには新鮮な魚介類をふんだんに使ったレストランもあり、そこでの食事も楽しみのひとつに。海辺でゆったりと過ごす日々は、まさに安藤さんが思い描いていた“理想の老後”そのものでした。
しかし……。
購入から数年が経つと、そんな暮らしにも変化が起きます。
安藤夫妻が「リゾマン売却」を決心したワケ
二人は年をとるにつれ、以前のように頻繁に熱海へ足を運ぶことが難しくなってきました。
また、千葉で暮らす娘から「老後が心配だから、よかったら近くに住まない?」と提案を受けたこともあり、夫婦は横浜の自宅を離れ、千葉県内への移住を検討するようになります。
そうなると、熱海のリゾマンを利用する機会は今後さらにぐっと減ります。夫婦は相談の末、物件を購入したときと同じ100万円で売却することにしました。
100万円でも売れない!?…身動きが取れない安藤夫妻
ところが、不動産会社の担当者から返ってきた言葉は意外なものでした。
「100万円でも買い手を見つけるのは難しいかもしれません」というのです。
実際、不動産ポータルサイトに掲載しても反応はゼロ。依頼から半年が経過しても、問い合わせすら入らない状況が続きました。その間も、毎月の管理費は発生し続けます。
「どうしよう……こんなはずじゃなかったのに」
出口が見えないまま負担だけが増えていく現実に、安藤さんは頭を抱えています。
