前園夫妻の資産状況…離婚後の財産分与はどうする?
前園夫妻の資産は、時価4,000万円の自宅不動産と2,000万円の預金です。負債はありません。
則正さんは、清美さんが離婚に応じてくれるのであれば、専業主婦のため働いていない清美さんにできるだけのことはしようと考えていました。そのため清美さんの要求どおり、自宅と預金の半分1,000万円を分与することで合意します。
子どもたちの反応
前園家の2人の息子は、父である則正さんの決断に理解を示してくれました。むしろ、「父さん、よくいままで我慢したよな」という反応だったそうです。
則正さんは離婚後、職場近くの2LDK賃貸マンションに引っ越しました。家賃は10万円です。時々、長男が孫を連れて遊びに来てくれると嬉しそうに話します。
則正さんの勤め先の定年は65歳です。さらに、希望すれば70歳まで再雇用制度を利用して働くことができるといいます。退職金は約1,800万円の予定ですが、働いている間は、退職金には手を付けずに生活ができるでしょう。
65歳から受給できる年金額は月額19万円ですが、自宅を失った分、老後の収入を少しでも増やすため、働いている間は年金の繰下げ受給を検討しているということでした。
元妻・清美さんの「その後」
一方、息子から聞いた清美さんの現在は、想像以上に悲惨でした。
まず、20年以上専業主婦だった清美さんの求職活動は難航しているといいます。清美さんは有名私大卒で、2年間だけですが一流企業に在籍していました。そんなプライドからか、仕事を選り好みしているということでした。
また、徐々に目減りしていく貯金を目の当たりにして焦りはじめた清美さんは、最近、知り合いにすすめられ知識もないままに投資を始めたそうです。ところが、投資は一足飛びに利益がでるものではなく、手持ち資金はますます心許ない状況となってしまっています。
頼みの綱の息子たちも「母さんの自業自得だよ」と冷たく突き放されて意気消沈。途方に暮れているそうです。
清美さんが30年間の結婚生活をどう捉え、現在どう思っているのかはわかりません。しかし、則正さんは離婚してよかったと心から感じているといいます。
人生の後半戦をどう生きていくのか、子どもの独立や自身の定年退職など人生の節目は、自分自身に問いかけるよい機会なのかもしれません。
山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI
代表
