「地獄の日々が始まる」“給食のない夏休み”前に所得300万円未満「子育て困窮家庭」悲鳴 物価高苦しく“2人前のおかずを5人で”分けるケースも

「地獄の日々が始まる」“給食のない夏休み”前に所得300万円未満「子育て困窮家庭」悲鳴 物価高苦しく“2人前のおかずを5人で”分けるケースも

長引く物価高騰の影響で、困窮する子育て家庭の98%が暮らしについて「大変苦しい」「やや苦しい」と感じている――。

認定NPO法人キッズドアが1日、記者会見を開き、困窮子育て家庭の生活実態に関するアンケート調査の結果を発表した。回答した世帯の9割が物価高騰の中で経済的な苦しさを感じており、約8割の子どもが健康に必要な量の食事を十分に取れていない実態が明らかになった。

給食がなくなる夏休みを前に、保護者からは「地獄の日々が始まる」「生きられる気がしない」といった悲痛な声が寄せられており、同団体は国や自治体に対し、現金給付を含む緊急支援を求めた。

98%が「苦しい」、生活満足度は国の調査を大幅に下回る

調査は、キッズドアが物資や情報支援などを提供する「キッズドア・ファミリーサポート」の登録世帯を対象に、今年6月1日から8日にかけてオンラインで実施され、1449件の有効回答を得た。

回答者の94%は母子世帯で、世帯所得が300万円未満の世帯が8割を超え、うち半数近くは200万円未満だった。また、約4割が「貯金はない」と回答し、「貯金10万円未満」を含めるとほぼ半数に達する。

現在の暮らしの経済的な状況について尋ねた設問には、「大変苦しい」(56%)と「やや苦しい」(42%)を合わせて98%が苦しさを感じていると回答した。

生活の満足度について尋ねた設問では、内閣府が実施している「満足度・生活の質に関する調査」に合わせ、総合的な生活満足度を0点(全く満足していない)~10点(非常に満足している)の10段階で回答を求めた。

その結果、回答の平均値は3.18点。「所得300万円未満」で3.61点、「所得100万円未満」では2.32点だった。いずれも回答平均値が5.79点だった内閣府調査と比べ、大きく下回る結果となった。

約8割の子どもが必要な食事とれず 所得低いほど深刻

物価高騰が、子どもの食事に深刻な影響を及ぼしていることもわかった。

経済的な理由で子どもが健康に必要な量の食事をとれない日が「ある(ほぼ毎日)」と答えた世帯は19%、「ある(ときどき)」は57%にのぼり、合わせて約8割の家庭で子どもの食事が不足していた。

この傾向は所得が低い世帯ほど顕著で、世帯所得100万円未満の層では「ほぼ毎日」が31%に達していた。保育園や学校の給食を除き、肉や魚を食べる頻度についても、同所得層の31%が「食べたいが、あまり食べていない」と回答している。

食事が十分に用意できないことによる子どもへの影響(複数回答)としては、「イライラしている、落ち着きがない」や「病気にかかりやすい」などが上位に挙がった。所得100万円未満の世帯では、「同年齢の子どもに比べてやせている」「同年齢の子どもに比べて身長が低い」も3割を超えた。

食事の不足は睡眠にも関連しており、必要な量の食事をとれない頻度が高い子どもほど、「睡眠時間が足りていない」「眠っても十分に休養できていない」といった睡眠に関する心配事が多いことも分かった。

物価高騰の影響で抑えている子どものための費用(複数回答)では、「衣服や靴の費用」(89%)が最も多く、「将来のための貯金」(80%)、「遊びや体験活動の費用」(79%)が続いた。「特に抑えている費用はない」との回答は0.4%にとどまった。

自由記述では、「いつも2人前ほどのおかずを5人で分けている」「借金を返すために借金を繰り返し、借金をして食材を買っている」といった厳しい実態や、「貧乏で子供が闇バイトに手を出さないかとてもとても心配です」という保護者の切実な心情が寄せられた。

「また恐怖の夏休みがくる」 給食なくなり食費・光熱費が負担に

困窮家庭にとって、学校給食がなくなる「夏休み」は、家計への負担がさらに増す期間となる。

小中学生の子どもがいる家庭に、給食がなくなることによる食事への影響を尋ねたところ、「1回あたりの食事の量が減る」(64%)、「肉や魚を食べられない日が増える」(61%)といった回答が6割を超えた。

また、光熱費の負担も重くのしかかる。今夏のエアコンの使用予定について、「必要な時でもかなり制限して使う」(38%)、「ほとんど使わない」(6%)、「ない・故障中」(4%)を合わせると、半数近くが使用をためらう意向を示した。「制限せずに使う」と回答した家庭は7%だった。

政府は物価高対策として、今年7月〜9月使用分を対象に「電気・ガス料金支援」を実施。一般家庭では3か月合計5000円程度の負担軽減が見込まれる。

しかしキッズドア理事長の渡辺由美子氏は、「エアコンを制限せずに使用している家庭にはありがたいが、元々使用を切り詰めている困窮家庭にはメリットが少ない」と指摘。「その分を現金で出していただいたほうが子どもの食べ物になる」と訴えた。

保護者からは「また恐怖の夏休みがきます」「(夏休みが始まると)本当に地獄の日々が始まったと思ってしまいます」といった声が上がっており、夏休みが精神的な重圧になっていることがうかがえる。

NPOは食料支援実施、国や自治体には現金給付など緊急対応を要請

渡辺氏は「今年に入ってからは無理心中事件も起きており、助けを求めることもできないほど精神状態が悪化している親が増えている」と危機感を示す。

アンケートの自由記述欄にも「生きてる事がいよいよ辛くなってきました」「自分の力だけではどうにもならない現状に不安しかありません」といった声が寄せられた。

こうした厳しい状況を受け、キッズドアは夏の食料支援を実施する。企業からの支援とクラウドファンディングにより、3500世帯を対象にお米やレトルト食品などを届ける計画だ。6月29日に希望者の受付を開始したところ、翌30日にはすでに2707世帯から申し込みがあったという。

同団体は、国や自治体に対する提言も発表。特に所得100万円未満の家庭は心身ともに限界に近いとして、緊急の実態把握と支援を要請した。また、物価高騰が続く中で、2023年3月を最後に途絶えている困窮子育て家庭への現金給付の再開を強く求めた。

配信元: 弁護士JP

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