AKB48メンバーの契約解除をめぐる騒動の波紋が広がっている。
6月23日、AKB48を運営する株式会社DHは、人気選抜メンバーの花田藍衣(21)について、同日付で専属契約を解除したと公式サイトで発表。花田は昨年以降、次世代メンバーとして注目され、シングル選抜にも名を連ねていた。
運営側は、「本人は2025年12月頃より体調不良を理由とする遅刻を繰り返しており、弊社といたしましては本人の体調を最優先に考え、その原因を特定し適切な治療に専念できるよう、活動を休止する措置をとってまいりました」として「活動休止は、こうした経緯によるものです」と説明。
さらに、「その過程において、特定のファンとの繋がりが発覚し、それに対して、本人は偶然2度だけ会ったと説明していますが、関係各位のヒアリングによれば、当該特定のファンには複数回会っていることが判明しました。特定のファンとの繋がりは、メンバーの安全性、メンバー間の公平性、ファンからの信頼性を損ねる行為であり、AKB48では禁止している事項です」として、契約解除に至った経緯を説明している。
この発表だけなら、アイドルグループにありがちな「規律違反による契約解除」として受け止められたかもしれないが、事態はその日の夜、一気に別の局面へと進んだ。(ライター・中原慶一)
「丸坊主」をめぐり食い違う両者の言い分
契約解除が発表された夜、花田は自身のXに約9分間の動画をアップ。完全な「丸坊主」とまでは言えないまでも、髪をベリーショートに刈りあげた衝撃的な姿で登場。特定のファンと私的に会っていたことを認め、路上で手をつないだことなども明かしたうえで、「アイドルとして自覚に欠ける軽率な行動だった」と謝罪した。
その一方、運営側との面談の中で「もしAKBを続けたいなら、坊主にして誠意を見せろというようなことを言われました。すぐに決断できなかった私は、坊主に関しての返事はないまま、3週間の活動休止を申し出ました」と訴えた。
AKB48といえば、2013年当時、メンバーだった峯岸みなみが、恋愛報道後に丸刈り姿で涙ながらに謝罪動画に登場し、国内外で大きな批判と議論を呼んだ。花田は、面談時、過去の峯岸の「坊主謝罪」を引き合いに出されたとも主張している。
これに対し、運営側は、発表文の中で「本人は運営に髪型を坊主にさせられたと言ってきておりますが、当たり前ですが、担当に確認したところ、『そのようなことを指示することは絶対にありません。』とのことでした」と完全否定していた。
さらに、「本人と直接の意思疎通を図ることも拒絶されており、本人の代理人弁護士であるK弁護士からは、『本人から話し合いはお断りさせてください』というお話を最終的にいただきました」として、やむなく、グループとして初めて「契約解除」に至ったと説明している。
「絶対に引き下がらない」
アイドルメディア関係者はこう話す。
「花田の件の詳細は分かりませんが、アイドルファンも動揺しています。地下アイドルなどでは、恋愛禁止を掲げており、発覚した場合、ペナルティを課す例などはいまだにありますが、AKBグループは、今は公式にはそうした表立った規定はないと思います。
運営側は『特定のファンとの繋がりは禁止している』と説明していますが、これは確かに、過去に事件やトラブルがあったからでしょう。背景には、SNSの発展で、誰でも簡単に繋がれるようになったという時代の変化もあります」
花田は6月24日、Xにこう投稿した。
「色々な声をいただいていますが、私は折れません。坊主にさせられて。嘘つき扱いされて、これ以上失うものは命しかありません。他メンバーについての証拠も出せと言うなら出していきます。
坊主にさせられて、はい。さよなら。では絶対に引き下がらないです。命懸けで前に進んでいきます。」(原文ママ)
双方の主張は、真っ向から対立。今後の展開は全く予想ができそうもないのが現状だ。「坊主を強要したかどうか」についてもどちらの主張が真実なのか、全く判然としない状態だ。
他人に何かを強いることは「強要罪」の可能性
では、一般論として「坊主の強要」など、他人に何かを強いることには、どのような法的な問題があると考えられるか。さる法律事務所関係者はこう話す。
「脅迫罪や暴行罪、傷害罪などと比べるとなじみが薄いかもしれませんが、刑法223条に『強要罪』という犯罪が定められています。
①生命、身体、自由、名誉、財産に害を加える旨を告知して強迫するか、または暴行を用いて、③義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害した場合に、成立します。
法定刑は『3年以下の拘禁刑』で、脅迫罪の『2年以下の懲役または30万円以下の罰金』と比べ重い罪です。ちなみに未遂犯も処罰されます。
①の脅迫または暴行は『相手を畏怖させる程度』であることを要し、その場の状況や相手方との関係等を考慮し客観的に判断されます」
具体的には、次のような行為は、その態様によっては強要罪に問われる可能性があるので注意が必要だという。
- 店員などに対する『土下座での謝罪の要求』
- 飲み会で一気飲みを強要するなどの『アルコールハラスメント』
- 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強制するなどの『パワーハラスメント』
- 性的な関係を強いたり、わいせつな行為をしたりする『セクシャルハラスメント』
「以前、宅配便が指定日時に届かなかったことに腹を立てた男性が、運送業者の営業所所長を土下座させ強要罪に問われたケースがあります。丸坊主を強要することも、強要罪に該当する可能性があるでしょうね」(前同)
直接暴力を振るう『暴行罪』や、相手に怪我をさせる『傷害罪』にくらべ、強要罪は、職場などの日常生活の中でも十分起こり得る犯罪であると指摘する。
「強要罪は、多くの場合、被害者が加害者の暴行や脅迫に畏怖し、強要されて義務のない行為をしたと感じた場合に被害届が出されて立件されます。
特に、『相手方を畏怖させる程度の暴行・強迫』があったかどうかは、上述したように、その場の状況や相手方との関係を考慮に入れて客観的に判断されます。
いくら『冗談のつもりだった』『脅迫するつもりはなかった』などと弁明しても済まされないこともあります」(前同)
花田の件がどのような決着を迎えるか、現時点では判然としないが、日々の生活の中で、こうした犯罪があるということは、自分自身が加害者にならないようにするためにも、他人から被害を受けた場合に備える意味でも、知っておいて損はなさそうだ。(敬称略)
■ 中原慶一
某大手ニュースサイト編集者。事件、社会、芸能、街ネタなどが守備範囲。実話誌やビジネス誌を経て現職。マスコミ関係者に幅広いネットワークを持つ。

