
日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを第一園芸のデザイナー、志村紀子がご紹介いたします。
2025年8月23日から二十四節気は処暑に
「処暑(しょしょ)」とは、暦の上で「暑さがひと区切りするころ」を意味する節気です。
現在の季節感とはやや異なりますが、二十四節気は少しずつ秋への歩みを進めています。
今回のテーマは「向日葵(ひまわり)」。
真夏の花という印象がありますが、9月も最盛期で、多彩な品種が出回ります。夏のエピローグによく似合うこの花を使った、花あしらいをご紹介します。

初秋の雰囲気を楽しむ
オレンジ~ブラウンの花弁が印象的な「ヒマワリ サンリッチマロン」と、赤い穂にブロンズの葉が映える「パープルファウンテングラス」の組み合わせです。
あえて小さ目の花器を使い、すらりとした姿を活かしました。こっくりとした色合いの向日葵と穂ものは好相性。色と花姿を意識するだけで秋の気配が漂う、花あしらいが完成します。
秋風にゆらぐ草花の姿をイメージしながら生けてみてください。

こちらは「ヒマワリ レモンオーラ」に「姫ガマ」をあわせた、シンプルな花あしらいです。ガマの穂ならではのすっきりとした葉と穂、そして伸びやかなシルエットが、レモンイエローの向日葵と引き立てあい、夏と秋をつなぐ雰囲気を演出します。
ここでは傾いたデザインの花器を使って斜めに生けていますが、口径の広い花器でも、同様に斜めに生けることができます。
もちろん、シンプルに垂直に生けてもよく似合う花材なので、縦に伸びるシルエットも楽しんでみましょう。

夏の終わりを豪華に彩る
「ヒマワリ サンリッチマロン」「ヒマワリ バレンシア」「つぼみヒマワリ」など、さまざまな向日葵に、海老の尻尾に似ていることから、“小海老草”とも呼ばれる「ベロペロネ」、そして霞のような「スモークグラス」を合わせました。花器の中に忍ばせた「モンステラ」の葉がアクセントに。
過ぎゆく夏をイメージした、夕焼け色の花あしらいです。

