
日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを第一園芸のデザイナー、志村紀子がご紹介いたします。
2025年7月22日から二十四節気は大暑に
暦の上で、一年でもっとも暑い時季を表す節気が「大暑」です。ひとつ前の「小暑」は暑さの始まりを指し、「大暑」ではその暑さがピークを迎えるとされています。
今回の花あしらいの主役は、トロピカルフラワーの代名詞ともいえる『アンスリウム』。
団扇のような形や鮮やかな赤色のイメージが強い花ですが、実はカラーバリエーションが豊富で、サイズや形もさまざま。ユニークな個性を持つ花です。
また、花のように見える部分は「苞(ほう)」と呼ばれ、中心の突起部分が本来の花にあたります。今回はその中から、涼しげな色合いのアンスリウムを使った、夏にぴったりの花あしらいをご紹介します。

花の個性を楽しむ
クリームイエローのアンスリウムだけを生けました。
微妙な色のグラデーションを活かしてリズミカルに配置すると、彫刻のような面白さが生まれます。
花器は軽やかな花色に合う、マットな白の陶製を選びました。
カンバスに絵を描くような感覚で、好きな色の花を選び、自由に楽しんでみてください。

さまざまな葉と組み合わせる
こちらでは、クリームイエローとイエローグリーンのアンスリウムに『アンブレラファン』を合わせました。
名前のとおり、傘のように広がる葉が特徴的なシダの一種です。一見、生けるのが難しそうですが、葉の中心部にアンスリウムを挿すと、簡単に固定できます。
個性の強い花や葉でも、近い色合いでまとめると、自然と調和の取れた雰囲気に仕上がります。

今度は一転して、しなやかで動きのある『ミスカンサス』を添えました。
硬質な印象のアンスリウムと、やわらかなミスカンサスの組み合わせは意外に感じるかもしれませんが、たっぷり使うことで、双方の魅力が引き立ちます。
ここでは茎も見せるように束ねて生けました。

アンスリウムとミスカンサスは輪ゴムでまとめていますが、茎も美しいので、ガラスの花器でも目立たない工夫をご紹介します。
(1)輪ゴムで束ねたあと、(2)別に取っておいたミスカンサス1本で輪ゴムを隠すように巻きつけ、(3)すっきりと仕上げます。
ぐらつく場合は、(4)セロファン(花を包んでいたものなど)を水の中に入れると、見た目を損なわず、安定して生けることができます。

