大人な“もてなし”には、レストランでも手土産選びでも質の高さに加え、相手を知った上でのプラスアルファの心配りが必須。
東京カレンダーは女優・西野七瀬の笑顔を引き出すべくどう動いたか。
オープン初期から変わらぬ『アピシウス』のスペシャリテ「雲丹とキャビア 野菜のクリームソース コンソメゼリー寄せ」¥9,680。北海道オホーツクのバフンウニとイラン産キャビアをやわらかなカリフラワーのムースで包み、ビーフコンソメで寄せた冷前菜だ。完璧なまでに澄んだ琥珀色の奥行きある旨みに、西野さんは頬を緩めた
何を選び、どう渡すか。手土産には、その人の価値観が表れる。西野さんにとって、それは構えるほどのものではない。
「実を言うと、手土産にはあまり慣れていなくて。自分が美味しいと思ったものをそのまま渡すことが多いですね」
ご飯のお供にしている焼き海苔や、ふと目に留まったサブレ。気取らぬ選び方だが、そこには基準がある。特別なものを探すより、日々の延長で出合ったものの中から選び取るのだ。
「自分の好きな味、自分が知っているお店のもの。大切な相手とは感動を共有したいし、その方が自信をもってお渡しできると思うんです」
誰かと同じものを味わい、その時間を分かち合う。そんな感覚が、自然と次の関心へとつながっていく。フレンチに興味を持ったのも、その延長にある。
和栗の渋皮煮を丸ごと忍ばせた「ホテル椿山荘東京」の「極 和栗のパウンドケーキ」¥5,400。生地には和栗ペーストを練り込み、有精卵の卵黄でコク深く仕上げ、ほのかにリキュールを効かせた贅沢な味わいだ。「和栗好きにはたまりません。栗の存在感が際立っていて、上品な甘さ。しっとりとした口当たりで、食べ応え満点です」と西野さん
「結婚してから、ふたりでフレンチってよくわからないよね、という話になって。じゃあ、行ってみようか、と」
過度に構えない姿勢は、日々の過ごし方にも表れている。ふたりでの暮らしについて問うと、こんな答えが返ってきた。
「意識的に決めたことは、あまりありません。時間が合えば一緒にごはんを食べますし、ひとりの時間もうまく確保できている実感があります」
そう語る彼女の表情は穏やかだが、女優としての活動は着実に広がりを見せている。
2026年は出演映画の公開が続き、最新作は『免許返納!?』。順風満帆な俳優人生を歩みながらも、心の中ではアクション映画への出演を望む高齢の映画スターが、免許返納騒動に巻き込まれる姿を描いたコメディだ。
主演の舘ひろしさんとは『帰ってきた あぶない刑事』以来の共演となる。
「すごく面白そうな作品だと思って、単純にワクワクしました。舘さんとまたご一緒できるのも楽しみでした」
西野さんが演じるのは、自由奔放な映画スターに振り回されるマネージャー役。その言動に辟易しながらも、元天才子役という経歴を持ち、いざという場面では冷静にブレーキを踏む。
「自分からすごく遠い役ではない。私にもこういう一面があるなと思いながら演じていた」と西野さんは言うが、撮影中には思いがけない経験もあった。
ベテラン俳優が顔をそろえる現場ならではの、独特の緊張感だ。
「舘さんの素敵なアイデアで、台本の内容が変わっていって。私の役柄も、冷静に距離を取るだけの人物ではなくなっていった気がします」
予定調和に寄らないやり取りの中で、役は少しずつ別の表情を帯びていく。その場で生まれた感覚が、次の芝居にささやかな光を添え、人物像に奥行きを与えていく。
「その場で起こっていることにちゃんと応じる方が大事なのだと気付かされました。作品がプラスになれば、それがいい」
かたくなに踏みとどまるのではなく、状況に応じて一歩引く。強く前に出るのではなく、必要な場所で役割を果たす。その誠実さは、彼女の手土産の選び方にもどこか通じている。
自分の目で確かめ、納得したものを差し出す。そんな在り方だ。
■プロフィール
西野七瀬 1994年生まれ。大阪府出身。2018年に乃木坂46を卒業後は、女優として活躍。日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞するなど、着実にキャリアを重ねている。6月19日には出演映画『免許返納!?』の公開が控える。
■衣装
ドレス¥236,500〈Patou/IZA TEL:0120-135-015〉、ジャケット¥228,800〈PLAN C/SANKI SHOJI CO.,LTD TEL:03-6426-5481〉、バングル¥19,800、リング¥16,500、イヤカフ¥13,200、イヤリング¥11,000〈すべてMana Rosa Jewel/Mana Rosa Mail:manarosajewel@gmail.com〉、シューズ¥110,000〈TOD’S〉、バッグ¥459,800〈DEVAUX/リシュモンジャパン TEL:03-6432-9125〉
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