与党(自民党・日本維新の会)は7月7日、社会保障改革の骨子を発表。「年齢によらない真に公平な応能負担を実現する観点から見直しを行う」と70歳以上の窓口負担の見直しを打ち出した。
見直しは、維新側が「現役世代の負担軽減」を掲げて求めてきたもので、内容は「骨太の方針」に反映される見通し。維新の梅村聡税制調査会長は「次の世代に向けた非常に大切な中身が含まれている」とコメントした。
一方、全国保険医団体連合会(保団連)は「現役世代と高齢者の有病率、受診状況、支払い能力の違いを無視した見直しが実施されると、受診抑制による重症化、医療・介護費用の増加、看護・介護離職の増加など患者・家族にしわ寄せとなることは明らか」と批判。
「現役世代にも重荷になる」として、高齢者負担増を前提とした工程表の策定に抗議する声明を公表した。
20・30代では40%前後が賛成
現行制度では、70歳以上の高齢者の窓口負担割合は原則2割、75歳以上は原則1割に設定されている。ただし、「現役並み所得」と判定された高齢者については、現役世代と同様に3割負担が求められる。
だが、年齢ではなく能力に応じた負担を実現すべきとする立場から、原則3割負担化を求める声が高まってきた。
実際、健康保険組合連合会が2026年1月に実施した全国3000人を対象のインターネット調査では、将来的に高齢者の自己負担を現役世代と同じ原則3割に見直す案について、賛成が34.2%、反対が29.9%と、賛成がわずかに上回り、20・30代では賛成が40%前後に達し、若い世代ほど賛成の傾向が顕著だった。
「いずれ高齢期を迎える現役世代の不安にもつながる」
しかし、全国保険医団体連合会は「高齢者世帯の所得階層分布は100万円から150万円が最多であり、高齢者の平均所得は314万円にとどまっている」と訴える。
世帯全員が住民税非課税の70歳から74歳(窓口2割負担)は260万人、75歳以上(窓口1割負担)は811万人にのぼるとされるが、仮に窓口負担が1〜2割の高齢者を3割負担、外来特例を廃止した場合、70歳以上の高齢者2580万人が負担増となる。
現状70〜74歳の高齢者1人当たりの患者負担は7万2775円だが、2割を3割にした場合、10万9162円に増加。75歳以上の高齢者1人当たりの患者負担(年額)は1割から3割に引き上げた場合、7万8998円から23万6994円に膨らむ。
世界保健機関(WHO)は、収入から税金・保険料・食費などを除いた「支払い能力」に対し、医療費の支出が40%を超える状況を「破滅的医療支出」と定義しており、同団体は低年金の高齢者が3割負担となれば「破滅的医療支出」に該当しうると指摘した。
自民・維新両党が合意した骨子では、年末までに「一定の結論を得る」としており、高額療養費・外来特例の見直し、所得区分の設定、対象年齢の引き上げなどが検討テーブルに上る見通しだ。
保険医団体連合会の竹田智雄会長は声明の中で「自民・維新両党が密室協議で負担増の工程表策定を求めることに強く抗議する」と述べ、見直しにあたっては「有病率が高い高齢者の雇用促進とセットで医療アクセスを確保することがむしろ重要だ」と主張。
高齢社会白書によると、介護や看護を理由に離職した人は1年で約10.6万人に上る。保団連は「高齢者負担増は現役世代にも重荷になり、医療費の患者負担増は、いずれ高齢期を迎える現役世代の老後の不安にもつながる」と指摘し、「大企業に税・社会保険料の応分負担を求める」とともに「物価高を上回る賃上げを実現させることこそ必要」と結んだ。

