円相場の安定が日本株高を支える構図
米国の金利低下は日米金利差縮小を通じて円高圧力となり得ますが、現在の日本株高を最もよく説明する要因は、対ドルでの円相場の「安定」です。
ドル円相場の予想変動率(3カ月物インプライド・ボラティリティー)は4月以降急低下し、足元で10%を切る水準にあります。この予想変動率の低下は円相場の安定を示しており、日経平均のチャートと鏡映しの関係になっています。
円相場の安定は海外の中長期投資家にとって極めて重要です。急激な円安はドル建てリターンを押し下げ、円高は輸出企業の収益を圧迫しますが、安定していれば長期的な日本株投資の安心材料となります。この安定感が、海外からの継続的な資金流入を支えているのです。
構造改革への確信と長期マネーの流入

FRBの利下げ継続見通しは米経済の下支え観測から、米国株式市場を連日の最高値更新へと導いています。日本株市場でも、このグローバルな金融緩和環境下で海外からの中長期マネーの流入が継続しています。
この長期投資を促している要因は、東京証券取引所が上場企業に要請した資本効率改善による企業統治改革の進展への確信だと分析されています。アジア勢や欧州勢に加え、米国勢の資金も動き始めており、日本企業の構造改革に対する期待が高まっています。
この長期目線の買い意欲の強さは、日銀会合後の市場反応によく表れました。ETF売却発表によりヘッジファンドの売りで日経平均は一時800円余り下落しましたが、終値では4万5000円台を維持しました。長期投資家が短期的な材料に一喜一憂しない姿勢を示した形です。
