先月より始まった「あのシェフの!推しスイーツリレー」。有名パティスリーのシェフたちがバトンをつなぎながら、とっておきの“推しスイーツ”やおすすめの名店をリレー形式で紹介していきます。
スイーツのカテゴリーが細分化され情報が溢れる昨今、本当に美味しいスイーツって何だろう…と考えながらSNSを眺めていたら、とあるパティスリーのシェフの投稿が目に留まった。「このスイーツすごく好きなんだよね!」。あのシェフが推しているスイーツなら絶対に美味しいに違いない。しかもあまり知られていないスイーツ! これはメモしておかなければ!
そんな体験から始まったこの連載。シェフ同士の意外なつながりや、貴重なエピソードも聞けるかも!?
第二回目に“推しスイーツ”を教えてくれたのは、神奈川の名店のひとつ【L’ATELIER HIRO WAKISAKA(ラトリエヒロワキサカ)】の脇坂シェフ。人気パティスリー「Mont St. Clair」でスーシェフを務めた脇坂シェフが手がける「L’ATELIER HIRO WAKISAKA」は、素材の香りや余韻を大切にした菓子づくりで知られています。繊細な構成と調和の取れた味わいが魅力です。
そんな、脇坂シェフの推しスイーツは、講師や商品開発などフリーランスとして、幅広い活動をされている鍋田シェフが作る【とろけるウィークエンドシトロン】です! 鍋田シェフは、神奈川県のパティスリーで経験を積んだのちに渡仏し、カンヌ近郊の二つ星レストラン「ロアジス」で修業を重ねる。帰国後はパティスリー勤務や講師活動、商品開発などを経験し、現在はフリーランスとして活動している実力派パティシエ。
早速、鍋田シェフのインタビューを交えて、スイーツをご紹介していきます。
まるで飲み物!? 唯一無二の食感「とろけるウィークエンドシトロン」

Q.脇坂シェフのお気に入りが「とろけるウィークエンドシトロン」だと聞いた時はいかがでしたか?
鍋田シェフ:率直に嬉しかったです。私は自分の店舗を持っているわけではないので、脇坂シェフからのご紹介という形でメディアに取り上げていただけるのは貴重な機会でした。

Q.「とろけるウィークエンドシトロン」について、素材を組み合わせる上で意識されているポイントや、素材へのこだわりを教えてください。
鍋田シェフ:正直、このお菓子を作っていた時のことをあまり覚えていないんです。ただ、ジェノワーズ(スポンジ生地)を作っていた時に何度も試行錯誤したことで、出来上がった自分の理想に近づけようと思って生まれたお菓子ですね。
ウィークエンドシトロンは多くのお店で作られている定番菓子だからこそ、どのように差別化するかを意識しました。私自身が思い描く理想の食感を追求し、重たくなりがちなウィークエンドシトロンを、軽やかなくちどけに仕上げています。レモンの風味は生地ではあえて控えめにし、アイシングで全体のバランスを整えました。
―生地に対して強いこだわりをお持ちなのですね。
鍋田シェフ:そうですね。お菓子のおいしさは味だけではなく「食感」も同じくらい大切だと思っています。特に焼き菓子は、その食感によって印象が大きく変わります。なのでお菓子を作るときは、まず「どんな食感にしたいのか」というゴールを決めてからレシピを組み立てています。
この「とろけるウィークエンドシトロン」の食感は、言葉だけではなかなか伝えきれないので、ぜひ実際に食べて感じていただきたいですね。材料自体も特別なものではありませんが、身近な材料をどう組み合わせ、どのような配合にするかに強くこだわって作っています。

Q.「とろけるウィークエンドシトロン」について、デザインについてのこだわりを教えてください。
鍋田シェフ:このようなパウンド型のケーキは、あえて同じ型で作っているところがこだわりですね。幅と長さのバランスがちょうどいいところが魅力だと思います。

Q.脇坂シェフとはいつ頃お知り合いになったのでしょうか?
鍋田シェフ:以前、パティシエの集まりで出会い、少しずつお話しするようになりました。気づけば自然と仲良くなっていて、今に至るという感じです。脇坂シェフに僕のお菓子を気に入っていただいたことが、きっかけだったと思います。
Q. 脇坂シェフとの思い出のエピソードを教えてください。
鍋田シェフ:脇坂シェフとは、パティシエとしての関係以前に友人でもありますが、会えばいつもお菓子の話ばかりしています。職人的にお菓子をとことん突き詰めていく方で、その姿勢には強く惹かれます。私自身も物事を深く掘り下げていくタイプなので、自然と話が合うんです。お菓子の世界の奥深さについて語り合っていると時間を忘れて、気づけば3時間くらい経っていることもありました。
そんな 鍋田シェフの「とろけるウィークエンドシトロン」を推しスイーツとして紹介してくれたのが「L’ATELIER HIRO WAKISAKA」の脇坂シェフ。
パティシエの集いで出会った“魅惑の焼菓子”

Q. 脇坂シェフが鍋田シェフの「とろけるウィークエンドシトロン」を選んだ理由を教えてください。
脇坂シェフ:シンプルにとてもおいしくて、何度でも食べたくなる味なんです。これを初めて食べたときはびっくりしました。“とろける”という名前の通り、口どけが良くてあっという間になくなってしまいます。こんなにおいしいウィークエンドシトロンは初めてだと感じました。

Q. 「とろけるウィークエンドシトロン」についてのエピソードを教えてください。
脇坂シェフ:2~3年前くらいに何人かのパティシエが集まって「ガレット・デロワ」か何かのスイーツを持ち寄ったときに、鍋田シェフが「とろけるウィークエンドシトロン」を持ってきてくれたことが出会いだったと思います。たくさんのガレット・デロワの中に混ざっていたウィークエンドはとても印象的でしたね。
Q. 鍋田シェフとの思い出のエピソードを教えてください。
脇坂シェフ:鍋田シェフとは、お会いするとお菓子に関するかなりマニアックな話ばかりしています。小麦粉も何グラム単位で細かく調整しながら何度も試作を重ねていらっしゃるので、どのお菓子をいただいても本当においしいですし、そうしたレシピを講習会で教えていることにもすごさを感じています。
脇坂シェフのお気に入りスイーツとして紹介いただいた鍋田シェフの「とろけるウィークエンドシトロン」は、鍋田シェフが描く“理想の食感”を追い求めて生まれた奇跡の逸品。他ではなかなか出会えない、とろける食感のウィークエンドシトロンは要注目です!
次回は、鍋田シェフの推しスイーツをご紹介します! どんなシェフにバトンが渡るのかお楽しみに!
Profile
鍋田幸宏
大阪あべの辻製菓専門学校フランス校卒業後、神奈川県内のパティスリーにて経験を重ね渡仏。カンヌ近郊の二つ星レストラン「ロアジス」にて研鑽を積む。帰国後は再び神奈川県内のパティスリーに勤務し、その後は製菓専門学校の講師、商品開発、顧問、デモンストレーターとして幅広く活動。現在はフリーランスとして活動している。東京都洋菓子協会連合会公認技術指導員。国内外のコンクールで数々の受賞歴を持ち、「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」日本代表にも選出された実力派パティシエ。
Profile
脇坂紘行
関西学院大学卒業後、ムッシュマキノ、なかたに亭、キャリエールヒデトワで経験を重ね、2009年4月に株式会社モンサンクレールに入社。同年12月よりパティスリー「Mont St. Clair」のスーシェフに就任。2018年8月2日に自身がオーナーパティシエを務めるパティスリー「L’ATELIER HIRO WAKISAKA」を神奈川県・武蔵小杉にオープン。素材の香りや余韻を大切にした菓子づくりに定評があり、繊細な構成とバランスの取れた味わいを追求している。
販売情報
鍋田幸宏シェフは実店舗をもたず、Instagramにて不定期オンライン販売を実施しております。
Instagram:@yukihironabeta

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