◆棺に入ったら「生きる気力が湧いた」
![[死を語りたい]若者たち](https://assets.mama.aacdn.jp/contents/210/2025/10/1760513100527_sy4egagctbo.jpg?maxwidth=800)
取材班が足を運んでみると、友人が入った棺を前に大粒の涙をこぼしている20代の女性が目に飛び込んできた。広告代理店で働いているという武井里奈さん(仮名・25歳)。彼女はなぜ死を疑似体験したかったのか。
「20歳のときに幼なじみが突然病気で亡くなって、『若くても死はこんなに身近で、突然来るものなんだ』と怖くなったんです。以来、SNSを眺めていても、戦争や殺人事件など死に関する情報に触れるたびに怖くなる。でもその不安を友達に打ち明けると、『え、疲れてるの?(笑)』『めっちゃ病んでるじゃん(笑)』っていうひと言で片づけられてしまう。語りたいのに語れない。語れないからより不安になる。感受性が強いのに惰性でずっとSNSを見てしまうので、最近はアカウントを消しました。でも、死についてリアルに向き合える場所があったら、漠然とした死への恐怖が薄れると思ったんです」
◆棺桶はほんのり暖かかい
![[死を語りたい]若者たち](https://assets.mama.aacdn.jp/contents/210/2025/10/1760513100527_5ek89qzgo3u.jpg?maxwidth=800)
「自分の本音と向き合えたような……。ゆっくりと前向きになれる気がします」
その後、取材班も入棺体験をすることに。自分に向けて書いた弔辞を司会者に読んでもらい、真っ暗な棺の中からこもった声を聞く。死んだときの予行演習をしている気分だ。
だがそれが思いのほか心地よい。ほんのりと暖かい暗闇の中で、自分は何が好きで何をしたいのか、やり残したことはないかと考える。死に触れたのに、いつの間にか生き方について考えていたのだ。
Deathフェスの共同代表を務める市川望美氏は「若者には居場所が必要」と語る。
「デス活に参加している若者たちは、生きることに一生懸命で真面目。ただ死についてふと考えたとき、共感したり話せたりする人や場が少なすぎる。だからこそ、デス活の場が、死を語れる仲間と出会い、死に触れ、死を知り、自分を再確認できる居場所になるのだと思います」
若者たちは今を生きるために「死」を語り続ける。
![[死を語りたい]若者たち](https://assets.mama.aacdn.jp/contents/210/2025/10/1760513100443_5nfm1n7uig7.jpg?maxwidth=800)
―[[死を語りたい]若者たち]―

