影山優佳が明かす葛藤の日々。期待される自分と等身大の自分、不器用な素顔をさらけ出した理由

影山優佳が明かす葛藤の日々。期待される自分と等身大の自分、不器用な素顔をさらけ出した理由

女優・影山優佳の自身初となるエッセイ『影まで愛して』(マガジンハウス)が7月30日に発売される。デビュー10周年の節目に、「本当の自分=影を伝えたい」という思いを込め、これまで語られることのなかった胸の内を等身大の言葉で綴った書き下ろしだ。

初著出版を決めたきっかけ、デビューからの心境の変化、愛してやまないサッカーへの思い、そして女優としての今後の展望。影山優佳本人に話を伺った。


影山優佳
――まずは今回のエッセイ出版を決意されたきっかけを教えてください。

今年で芸能活動10周年、25歳という区切りのいいタイミングが重なり、いつも支えてくれている人たちへのお礼の気持ちも込めて、何か新しいことにチャレンジできないかなと思ったのがきっかけです。グループを卒業してからは、応援してくださるファンの皆さんと関われる機会も少なくなってしまっていたので、新しい関わり方として私の方から「本を書いてみたいです」というお話をさせていただきました。

――ご自身の素の部分をかなりさらけ出しているというお話ですが、そのなかでもここは一番思い切ったなという部分はありますか?

一か所に絞るのは難しいですが、結構全体的にさらけ出しているかなとは思います。私は昔から誰かに必要とされたり、誰かの役に立ったりすることで自分自身が生きている意義を見いだすようなところがあって。仕事をしていても、カッコつけているつもりはなくても、気がつくと期待される自分でいようとしている。そういう部分についてはこれまで表立って話す機会ってそんなになかったんですけど、この本では改めて自分のそういう側面にも触れつつ、「等身大の自分でいるのって意外と難しいよね」といったお話もさせていただいています。

――この10年で影山さんの存在を知る人々というのはかなり増えたと思うのですが、世間から期待される「影山優佳像」と等身大の自分との間に乖離はありましたか?

知名度に比例してというわけではないんですけど、中高生の頃は自分の心と他者からの評価との向き合い方に対してバランスが取れず、かなり悩んだ時期もありました。思春期だったということもあり、「本当の私を見て!」といった気持ちがまだ強かったのかもしれないですね。今はそこに対してある程度迎合してというか、それこそ今回の本も自分の見られ方を逆手に取って書いているようなところもありますし、うまく手のひらの上で踊れるようになったと思います。仕事との向き合い方1つとっても、「私はいいけど影山はどうかな?」みたいな感覚もあって(笑)。

――矢沢永吉さんみたいですね(笑)。

でも、それが行動の芯になって助けられている部分もあります。じゃあ一方で、逆にそういう鎧を着ていない状態の影山とどう接しているかというと、そこは相変わらず不器用な部分もまだまだあって。今回のエッセイではそういう自分のなかでの葛藤みたいなものも素直に書かせていただきました。

――先日のFIFAワールドカップでのご活躍も拝見しておりましたが、影山さんはああいう場でも本当に多方面に気を配りながら言葉を選んでいらっしゃいますよね。あれは自然と無意識のうちにああなっているのか、それとも先ほど少しお話しされたような世間の影山像に対して応えていく意識も多少あるのか。あまり考え過ぎても本来のパフォーマンスが出せなくなってしまうでしょうし、その辺りのバランスはどのようにして取っていますか?

自分のなかで変わらず真ん中にあるのは、「目的に対してどういうアプローチを取るのがベストか」ということです。サッカーのお仕事でいうと、サッカーを普段あまりご覧にならない方々に、例えば戦術の面白さを知ってもらいたいなとか、そういう思いが動機としてまずあります。

例えば試合のなかのある局面について深掘りする際、解説は一流の解説者さんやレジェンドの皆さんが、ときには専門用語も交えながら話してくださりますよね。ではその状況で、「わざわざここに影山も呼んでいただけている理由は何だろう?」と考えたときに、「今の話をより嚙み砕いて共有すること」なのかなと。極力ひらたい言葉を選びながら、サッカー観戦初心者の方にも伝わるように会話に参加することを意識しています。

あとはやはり、現地の感動と興奮をそのまま届けたいという気持ちは、常に持ちながら臨んでいましたね。

――日本代表の試合をスタンドで観戦する影山さんの様子を収めた映像『カゲレポ』も話題を呼んでいました。

試合中はとにかく目の前のワンプレー、ワンプレーに集中して観ていたので、ゴールが決まった瞬間はめちゃくちゃ喜んでしまいました!変に飾らず素の自分が出たことで、結果的に「この人本当にサッカーが好きなんだな」というのが伝わったんじゃないかなと思います。それは濁りもフィルターもなく素の影山の感情なので。期待される役割を果たすのと、あえて素の自分のままでいるところ。そういうバランス感覚は、いろんなお仕事を任せていただくなかで少しずつ養われてきたのかなと思います。

――グループステージ初戦のオランダ戦で中村敬斗選手がゴールを決める直前、非常に真剣な表情で試合をご覧になっていたのも印象的でした。

あの試合は初戦だったこともあり、横から撮られているという意識があんまりなくて。もし撮られていると分かっていたらもう少しにこやかな顔で観たのに(笑)!得点が生まれる前の、普通に試合を観ている時の顔がいかつすぎて、あとから自分で見返しても「さすがにこの表情はまずくないか?」と……。「スタンドで試合を観ているおじさんみたい」というコメントも来ていました(笑)。でも幸い、その様子をわりと好意的に受け止めてくださっている方が多かったので、「みんなありがとう」という気持ちです。

――「スタンドにいるおじさんみたい」というお話で言うと、今回のエッセイのなかでも「ほんで」とか、「ようやっと」「いざ参らん」といった、影山さんの年代の方々があまり選ばなさそうな言葉もときどき使われていましたよね。

はい。中身はわりとおじさんなので(笑)。でもやっぱり幼少期から、サッカーをやっていたことも含めてたくましく生きてきた子だったのかなとは思いますね。スカートよりもズボンの方が好きでしたし。

影山優佳
――弊社で出版させていただいた影山さんの初のソロ写真集『知らないことだらけ』の巻末インタビューでも、男の子に混ざってサッカーをしていた頃のお話をしてくださりましたよね。試合中、ボールを取られないように先に相手に体を当ててからその勢いを利用して前に運ぶ、といったエピソードもありました。

はい!ドログバタイプですね。

――アイドル出身の方の写真集のインタビューでディディエ・ドログバ(元サッカーコートジボワール代表。身長189cmの屈強なFW)の名前が出るのはおそらく最初で最後だったでしょうね(笑)。でもやはりそういった言葉の端々からも、サッカーを本当に好きだという熱い思いがファンの皆さんに伝わっているのではないでしょうか。

それはとても光栄ですし、大好きなサッカーにお仕事で関われているのは本当に幸せなことです。これからも私なりにサッカーの面白さ、熱さみたいなものをお届けするお手伝いができたらと思います。


◆日陰から日向に胸を張って

影山優佳
――改めまして今回のエッセイ『影まで愛して』について伺いたいのですが、どんな人に読んでもらいたいですか?

私のことをめっちゃ知ってくれている人はもちろん、私のことをまったく知らない人にもぜひ読んでみてもらいたい一冊になっています。というのも、帯にも「私の人生は、秘密だらけである」って書いてあるんですけど、私がどうやって日陰から日向に胸を張って肩で風を切っているのかという部分は、その過程を読んで何か感じていただけることもあるのかなと思っていて。

コンプレックスを抱えていたり自分を素直に愛せていない人に、自分のために自分を癒してあげたり考えたりする時間を持とうと思うきっかけにしてもらえたら嬉しいです。あまり大きなことを言える立場でもないですけど、明日がちょっとハッピーになるんじゃないかなって思います。

――今回の写真は神藤剛さんに撮ってもらっていますよね。これは何か理由みたいなものはあったのでしょうか。

はい。私が日向坂46のオーディションに合格してからずっとアーティスト写真を撮っていただいている方です。グループに所属しているときって、例えば宣材写真を撮るときも私1人に与えられる時間って少ししかないんですよね。けど、選抜メンバーや表題曲のセンターになるとその分撮る時間も長くなって、大切に撮ってもらえる。もちろん、魂を込めて1枚1枚撮っていただいているとは思うんですけど、人数も多いグループだから時間的にどうしても目に見えて分かる差みたいなものはつけられますし、それを目の当たりにして中学生の影山は「いいなー。これが人気者かー」って思ったりもしたんですよね。まだ世間もよく知らないなりに、「これが優劣をつけられるということなんだな」という、ある意味当たり前のことを学んだ出来事だったので。

今振り返るとまだ若かったなーとも思いますし、受け手によっては所有欲っぽくも感じますけど、「私はこの人に“写真を撮ってください!”って堂々とお願いできる人になりたい!」と思ったのが中学生のときなので。

――なるほど。10年越しの壮大な伏線回収だったのですね。

そうなんです。それで今回「カメラマンさんは神藤さんでお願いします」とお伝えしました。「僕のことを覚えてくれているなんて」っておっしゃっていましたけどとんでもない。いい表情をたくさん撮ってもらえました。

――本のなかで「人生が変わる出来事」という表現がありましたが、言える範囲で教えていただいてもよろしいですか?

私はもともと感覚が鋭いところがあるんですけど、その分自分が見たものしか信じないというか、結構自分の物差しに自信を持って生きてきたんです。でもやっぱり、「存在しない証明」が難しいなと最近改めて思っていて。例えば、宇宙人がいないことを証明する方が難しいのと一緒で、自分にない感情・感覚とか、誰かが愛しているけど自分は意味が分からないものとかに対して興味が湧くようになったというか。他者を受容するという部分は、この数年でかなり変わったかなと感じたんですよね。

この出来事がっていうのがそれこそ隠していることなので言えないんですけど、私にない感覚や魅力を持っている人って本当に素敵だなと感じたり、そういう人に対してよりリスペクトを持つようになったのも、私のなかでは大きな変化だったのかなと思います。

――これも本のなかのお話になりますが、「恋愛をしたら沼りそう」とご友人からよく言われると。

めっちゃ言われますね。基本的に知的探求心があるタイプなので、サッカーにしても勉強にしても、知りたいと思ったことはとことん知りたくなってしまうんです。それが人に向いたことはまだないんですけど、もし人に向いてしまったら、確かにそうなるのかもなと。

仮にそういった出来事とか、ときめきとかが起こってしまったら、それこそマネジャーさんにうまくハンドリングしていただかないといけないです(笑)。だから「何かあったら“好きな人ができてしまいました!”ってすぐに伝えますね!」と常日頃から話しています。「私を止めて!」って。多分大変な感じになると思うので(笑)。でも、新しい自分に出会える気もしていてちょっと楽しみでもあります。

――最後に、女優としての今後のビジョンや、演じてみたい役柄などがあれば教えてください。

やっぱりお芝居に対してなるべく多くの時間、まっすぐ向き合っていきたいなっていうのはずっとあって。少し抽象的になってしまうんですけど、「いろんな感情と出会いたい」という思いが根底にあります。そのなかでさまざまな役柄を演じたいという思いももちろんありますし、大きな作品に起用していただける、あるいは主演を任せていただける女優になれたらと思います。そしてゆくゆくは例えば座長であったり、責任を背負うような立場だったりにも挑戦してみたいです。

そのためには、まず自分自身がそういう役割を任せられるだけの人間になることが何より大事だと思うので、しっかりと経験を積んで、人間的にも今よりもっと大きくなって、少しずつそういう存在に近づいていきたいです。

撮影/箕野就介  取材・文/福田 悠

【福田悠】
フリーライターとして雑誌、Webメディアに寄稿。サッカー、フットサル、芸能を中心に執筆する傍ら、MC業もこなす。2020年からABEMA Fリーグ中継(フットサル)の実況も務め、毎シーズン50試合以上を担当。2022年からはJ3·SC相模原のスタジアムMCも務めている。自身もフットサルの現役競技者で、東京都フットサルリーグ1部DREAM futsal parkでゴレイロとしてプレー(@yu_fukuda1129)
配信元: 日刊SPA!

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