7月28日午後4時27分ごろ、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、県内では最大震度7を観測した。
地震で住家に被害を受けた被災者にとって、今後の生活再建で重要な役割を果たすのが「罹災(り災)証明書」だ。
災害によって住家がどの程度被害を受けたのかを自治体が調査し、公的に証明する書類であり、被災後の公的支援制度の利用などにあたって必要となる。持ち家か賃貸かを問わず、実際に住んでいる家が損壊したのであれば、発行を受けるべきものである。
本記事では、罹災証明書の概要と申請方法について解説する。
罹災(り災)証明書とは
罹災証明書は、災害対策基本法90条の2に基づき、地震や台風、豪雨などの災害によって住家(※)が被害を受けた際にその程度を証明する、市区町村が発行する書類だ。
※「住家」とは、人が実際に居住のために使用している建物を指す
被災者から申請を受けた自治体は、職員などによる「被害認定調査」を行い、建物の損傷状況を確認したうえで、被害の程度を認定する。
判定区分には「全壊」「大規模半壊」「中規模半壊」「半壊」「準半壊」「準半壊に至らない(一部損壊)」がある。
罹災証明書は、災害後の生活再建に関わるさまざまな公的支援制度を利用する際の確認資料となる。
罹災証明書が関わる代表的な支援制度としては、全壊・大規模半壊・中規模半壊などの世帯を対象に国と都道府県が共同で支給する被災者生活再建支援金のほか、災害救助法に基づく住宅の応急修理制度や応急仮設住宅の提供、住宅ローンなどの返済が困難になった場合に利用できる「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」(いわゆる被災ローン減免制度)などがある。
なお、利用できる制度や条件は、被害の程度や世帯の状況によって異なる。
また、罹災証明書はあくまで「住家」の被害に関する書類であるため、カーポート、倉庫、門扉などは対象外となる。
申請する方法は
今回の地震について、熊本市は罹災証明書の申請受付をホームページで案内している。
申請方法は、マイナポータルを利用した電子申請と窓口申請の2種類。電子申請はすでに受け付けが始まっており、窓口申請は7月30日午前9時から開始される。遠方への避難などで窓口に行けない人についても、まずは市に問い合わせるよう呼びかけている。
対象となるのは「住家」に被害を受けた人で、家の所有者であるか否かに関わらず、被災した時点でその家に居住していた世帯の世帯主が申請することができる。
また、マンションの共用部分が被害を受けた場合には、管理組合などが申請することも可能だ。
申請時には運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類が必要となるほか、代理人が手続きを行う際は委任状も必要となる。
なお、住民票の住所と被災した住宅の住所が異なるケースでは、光熱水費の領収書など、生活の本拠であったことを確認できる書類の提出を求められる場合がある。
また、熊本市は被害状況の確認のため、片付けや修理の前に家屋の被害状況を写真に撮影して保存するよう呼びかけている。
写真を撮影する際のポイントは以下の通り。
- 家の外観は、カメラやスマートフォンなどで可能な限り4方向から撮影する。
- 浸水被害がある場合は、メジャーなどをあてて「引き」と「寄り」の写真を残し、浸水の深さが分かるようにする。
- 室内は、被災した部屋ごとの全景写真に加え、被害箇所を近距離から撮影した写真も残す。
大規模な災害では多くの住宅で被害が発生し、自治体による被害認定調査や罹災証明書の交付までに時間がかかることもある。
被災直後は安全確保や避難が最優先だが、その後の生活再建を進めるためにも、罹災証明書の仕組みや申請方法を早めに確認しておきたい。

