東京地検は2026年7月29日、捜査で取り調べた女性と性的関係を持ち、公費で確保したホテルの客室を私的に使い、性的行為を行っていたなどとして、同日付で西田将仁検事(48)が信用失墜行為で懲戒免職処分を受けたと発表した。退職手当は全額を支給しない。西田検事は21年から25年にかけて同特捜部に所属していた。

市川宏次席検事が同日、東京・霞が関の同庁で記者会見し、「国民の検察に対する信用を著しく損なわせるもので極めて遺憾」と謝罪した。
他の検事が取り調べで使ったホテルの部屋に女性を連れ込む
発表によると、西田検事は東京地検で刑事事件の主任検事を務め、被疑者だった女性を取り調べた。24年ごろ、女性を略式起訴して実質的に捜査が終わった後、間もなく性的行為に及んだ。捜査中には私的な交流はなく、「捜査終了後にSNSで連絡を取る中で親しくなった」という。
略式命令は、被告人が告知を受けた日の翌日から14日が経過し、その間に正式裁判の請求がないと確定するが、西田検事は確定前に女性から3000円相当の電子マネーを受け取った。その後も26年ごろまで、性的行為を繰り返すなど不適切な交遊を続けたという。
両者は飲食代や宿泊代を互いに負担し、書籍や電子機器などを贈り合っていた。女性から時計を受け取ったほか、デビットカードを借りて食品を購入したが、金額や回数は「通常の私的交流に伴う範囲を超えない」とした。
市川次席の説明によると、略式命令の確定前は女性が国家公務員倫理規程上の「利害関係者」にあたり、金品の受領は禁止される。倫理規定違反に加えて、女性が罰金を支払って利害関係者でなくなってから関係を継続したことも、
「検察官の職務行為の公正さに対する信頼を根底から揺るがすもので、断じて許されるものではない」
とした。さらに西田検事は、別居していた妻と「戸籍上の婚姻関係を解消しないまま」女性との関係を続けていた。市川次席は「家族のあり方は様々」だとする一方で、「およそ非常識な行動として受け取られかねない」と指摘した。
公費で借りたホテルの私的利用も問題視された。検察では、捜査中の事件関係者のプライバシーを守るため、検察の建物以外で取り調べを行うことがあるという。今回の事案では、女性の事件とは別の事件のために部屋を借りており、西田検事が取り調べを行ったわけではないという。取り調べ終了後、西田検事と女性は、この部屋で性的行為に及んだ。事案が確認されたのは24年頃の1回で、捜査情報の漏洩も確認されていないとしている。
撮影・録音できぬ記者会見、内容聞き返す質問続出
一連の事案は26年3月に「関係者からの情報提供」で発覚。地検は6月に調査を本格化させ、7月に毎日新聞が報じたことで明るみに出た。
西田検事は地検の調査に対して事実関係を認めた上で、
「本当に申し訳ないことをした。被疑者として取り調べた人物と関係を持つことは適切ではないと考えていたが、女性からの好意を感じていたことや、略式請求をしたことで、処理が終わっており、気がゆるんでしまった」
などと話したという。3000円の電子マネーを受け取った問題については
「略式命令が発せられており、女性も争っていなかったため、刑事事件が終結していたと考えていたため、問題ないと考えていた」
と釈明したとしている。
監督責任を問い、当時の特捜部長だった伊藤文規・現松山地検検事正を厳重注意、当時の副部長だった関口新太郎・現東京地検特捜部長を訓告とした。2人は西田検事の一連の行為を把握していなかったという。
再発防止策として、最高検は同日付で、自らが捜査・公判を担当した刑事事件の関係者と、事件終了後を含め、業務上の必要なく私的に接触することを禁じるよう全国の検察庁に指示した。東京地検は、公費で確保したホテル客室について、取り調べなどが終わった後の宿泊利用を原則として認めず、業務上やむを得ない場合は上司の事前許可を求める。
市川次席は約90分間にわたって会見。
「国民の検察に対する信用を著しく損なわせるもので極めて遺憾。国民の皆様に対して深く、お詫びを申し上げます」
として、約13秒間にわたって頭を下げた。組織的な体質について問われると、
「特捜部に限らず、検事として求められる責任感や倫理観、資質が備わっていれば、当然に避け得るものだった。やはり、ここが至らなかった」
と話した。
検察の記者会見では、検事正の就任会見の冒頭部分など、ごく一部を除いて撮影・録音が認められていない。録音ができないため記者は急いでPCでメモするしかなく、市川次席が読み上げた文言を確認する質問も相次いだ。
(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)