一方で結婚式場の数は多く、激しい競争を繰り広げている業界でもあります。運営会社の明暗も分かれてきました。

◆「結婚式の数」にくわえ、単価も減少
まず、婚姻数そのものが著しく減少しています。厚生労働省の人口動態統計によると、2019年の婚姻件数は約59万9000件で、2024年は48万5000件。件数は2割減少しました。リクルートのブライダル総研「結婚総合意識調査2019」では、カップルの80.7%がウエディングイベントを行っているとの結果が出ていましたが、「結婚総合意識調査2024」では、77.8%に低下しています。2つの調査を婚姻件数に当てはめると、2019年の結婚式の数は48万3000件で、2024年は37万7000件。結婚式の数は10万件以上失われた計算になるのです。
婚礼単価も減少しました。2019年の全国平均は354万9000円でしたが、2024年は343万9000円。その主要因がゲストの参加人数の縮小です。2019年は平均66.3人が参加していました。2024年は52.0人にまで減っています(「ゼクシィ結婚トレンド調査2024」)。コロナ禍で小人数の結婚式が主流となり、コロナ収束後も小規模婚のトレンドが継続しているのです。
◆「ウエディングドレスを着たい」女性の数も…
もともと経済的な理由を背景に結婚式を挙げないカップルは一定数存在していました。コロナを経て「しないという選択肢もアリだ」という意識が広がり、結婚式そのものに興味を持たないカップルが増加。そしてインフレによる生活費の高騰で、資金的な余裕は更に失われています。また、円高が進行していた時代は新婚旅行を兼ねてハワイやグアムで結婚式を行うカップルも多くいました。しかし、足元では過度な円安が進行しています。渡航費が高くなったことで、海外に行く機運そのものもなくなりました。
「結婚式はしない、やったとしても小規模で」そういう意識がカップルの中に広がっているのでしょう。
女性の価値観の変化も進みました。マイナビウエディングの「2025年 結婚・結婚式の実態調査」によると、結婚式を挙げる理由で「ウエディングドレスを着たい」との理由を挙げたのは、2023年は36.6%でした。2025年が23.8%。2年ほどで13ポイント近く下げているのです。「あこがれていたから」は2025年がわずか19.8%であり、12ポイント下がりました。
結婚式やウエディングドレスは、今やあこがれの対象ではなくなってきているのです。

