◆大手結婚式場運営会社が「ホテルへの投資」を急ぐワケ
結婚式場の口コミサイトで、ツカダとテイクアンドギヴ・ニーズ、そしてエスクリそれぞれの主力結婚式場を確認すると気づくことがあります。それがスタッフに対する評価。ツカダやテイクアンドギヴ・ニーズはスタッフの対応を評価するコメントが多い一方、エスクリは施設や設備、立地への評価が多い印象を受けます。例えば、結婚式場の激戦区である表参道にある結婚式場のウエディングパークの口コミでは、「セントグレース大聖堂」(ツカダ・グローバルホールディング)のスタッフの評価は3.9、「表参道TERRACE」(テイクアンドギヴ・ニーズ)は4.1、「シャルマンシーナ TOKYO」(エスクリ)が3.7です。
同じく激戦区である大宮エリアでは、「大宮璃宮」(ツカダ・グローバルホールディング)が4.0、「ガーデンヒルズ迎賓館」(テイクアンドギヴ・ニーズ)が4.3、「ラグナヴェール スカイテラス」(エスクリ)が3.7。やはりエスクリは評価で後れを取っています。
コロナ前から紋切型の結婚式からの脱却を目指すべきだとの観点から、カップルの価値観を重視するオリジナルウエディングに注目が集まっていました。そして今、結婚式に魅力を感じていないカップルが増えるなかで、提案力やサービス力の高い人材の重要性が高まっています。
しかし、ウエディングプランナーは過酷な営業職でもあるため、入れ替わりの激しい職種でもあります。婚礼業界は今まで以上に人材育成に力を入れなければならず、難しいかじ取りを迫られているでしょう。
ツカダ・グローバルホールディングとテイクアンドギヴ・ニーズの2社は、婚礼からホテル運営への投資を急いでいます。婚礼業界はもはや儲からないビジネスであり、人材のマネジメントを含む経営の難易度が上がりました。大手企業はホテルという成長領域への投資を加速しています。婚礼業界が転換点を迎えているのは間違いありません。
<TEXT/不破聡>
【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界

