◆やむなく警察に通報した結果…
担当者は「すぐにBBQをしている住人に連絡をとる」と約束してくれた。「ですが、しばらく待っても変化はありませんでした。あらためて管理会社に電話してみると『BBQはもうやめると言っていたんですが、まだやめてないんですか?』とのことでした。もう一度注意してやろうとベランダに出たら、逆に声をかけられ『管理会社に言いつけたみたいですけど、ここは公道なのであなたに注意される筋合いはありませ〜ん』と煽られる始末でした」
腹に据えかねた葛木さんは、警察に通報することにした。
「大事にはしたくなかったんですが、そうするしかないと思いました。警察官はすぐに来てくれたんですが、酔っ払った大学生たちは警察官にも食ってかかったんです。『ここは公道だから文句を言われる筋合いはない』と。当然、警察官に『公道でBBQが許されるわけがないだろ!』とこっぴどく叱られていました」
ようやくBBQはお開きになった。
「女性陣は警察官に名前を控えられたのが気に食わなかったらしく。住人の大学生に『ここならOKって言ったよね!?」と責められていました。そうしたこともあってしょげたのか、その後は静かになり、報復されるようなこともありませんでした」
いや、報復がなかったのは別の要因かもしれない。以後、例の大学生の部屋の集合ポストはボコボコにされ、部屋のドアの前にもゴミがばら撒かれることが度々あったらしい。
ほかのマンションの住人たちもBBQ騒ぎを苦々しく思ったのか、はたまたほかにも恨みを買っていたのか――。
ともあれ、ハメを外したくなるほど楽しい時間こそ、周囲への思いやりを忘れぬようにするのが己のためにもなろうというものだ。
<TEXT/和泉太郎>
【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め

