“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、読者の悩みに答える! 今回は、56歳で行政書士試験に再挑戦する会社員男性の相談について。「社会人こそ有利」と語る佐藤が示した、合格への勉強法とは――。
◆56歳で行政書士の資格を取るのは無謀ですか?
★相談者★トラネコ(ペンネーム)会社員 56歳 男性昨年2月より毎週土曜日に学校に通い、行政書士の勉強をしたのですが11月の試験で不合格でした。自分でも勉強時間が足りず、理解度が低いのはわかっていました。今年も再挑戦しようと今回は自分で勉強中ですが、平日は仕事で、夜の勉強が重要だと思うのですが、なかなか身が入らず56歳だと無謀なのかなと思います。明確な目的があって始めたわけでなく、何か資格をと思い始めました。何かよい目標の立て方や勉強方法についてアドバイスお願いいたします。

◆佐藤優の回答
資格試験に合格する勉強法は、簡単です。合理的計画を立てたうえで集中して机に向かうことです。いくら机に向かっても、集中できなくては意味がありません。集中できないのは内容が理解できていないからです。どこまで理解できているか否かを掌握し、知識の欠損を埋めながら勉強するのです。行政書士試験の合格者は800~1000時間勉強していると思います。平日2時間、土日は8時間机に向かって勉強すると週に26時間になり、10か月で合格レベルの力がつきます。これが標準的な合格者の勉強スタイルだと思います。あなたの場合、6月から本腰を入れて勉強するとしたら、残り時間は5か月しかありません。ただし、あなたには去年、予備校で勉強した知識が残っているので、私が今言った方法で500時間の勉強を続ければいいでしょう。
私が親しくする弁護士の西村尚芳氏は資格試験に関しては、社会人のほうが有利な面があると指摘しています。西村氏は大学卒業後、検察庁に勤務しながら司法試験の勉強をして合格しました。
〈面白いもんですね。私は卒業まで留年もしているので、在学中に5回司法試験を受けているのですが、就職して2回目に受かっているのですよ。やはり大学時代は相当無駄なことをしていたんですね。卒業して就職したら勉強時間なんてどーんと減るんです。土曜日曜と、平日は勤務後自宅に帰ってからの7時か8時からくらいでしょう。しかも、当時は完全週休二日制じゃなかったんです。大学時代は時間が山ほどあったはずなのに、本当、無駄なことをやっていたんだと思います〉(『特捜取調室──「国家の罠」20年目の再対決』112頁)
社会人のほうが、学生よりも時間が窮屈な分、集中して合理的に勉強をせざるを得ない状況に追い込まれます。これは受験勉強にとって悪い環境ではありません。
行政書士試験の場合、特別の才能は必要とされません。教科書に書いてある内容を理解し、それを制限時間内に復元する能力があれば十分です。まず、予備校の教科書を通読し、理解できない箇所があっても立ち止まらずに先に進むことです。これで、どこに何が書いてあるかについての見取り図ができます。そのうえで、予備校が配布した問題集を3巡します。行政書士試験の問題は出尽くしているので、同じ問題が使い回されます。余裕があれば、過去10年の過去問を2回ずつ解いてみます。これらの作業は500時間あれば終了できます。このとおりに勉強すれば必ず合格します。頑張ってください。
★今週の教訓……私の取調官は就職後に、司法試験に合格した

―[佐藤優のインテリジェンス人生相談]―
【佐藤優】
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

