
40、50代で新しいキャリアを求め、リスキリングを決意したとき、多くの人がまず取る行動。それは、オンライン講座を検索したり、専門書を買い込んだりすることでしょう。では、そのあとの最初の一歩として、なにをすべきか。後藤宗明氏による著書『中高年リスキリング』(朝日新聞出版)より、リスキリングの専門家が自らの体で実証した、リスキリングの最初の一歩を解説します。
リスキリングは何から始めたらよいか?
リスキリングに関してよく頂戴するご質問の中に、「何から始めたらよいでしょうか?」というものがあります。確かにリスキリングの重要性や意義は理解できたものの、行動に移すにはどうしたらよいかわからないといった状態にあるのだと思います。そこでこのご質問に対する答えを書きたいと思います。
これから、定年という人生の大きなライフイベントを視野にいれてリスキリングに取り組んでいくのであれば、ぜひ「これから残りの人生をどう生きたいのか」というご自身の気持ちに正直に、そして、できれば、自分が楽しいと思える方向に、キャリアをデザインしていっていただきたいと思います。
実は、定年4.0の時代に向けてリスキリングを始めるにあたり、「何から始めたらよいか?」に対する答えは、皆さんご自身の中からしか生まれ得ないものです。徹底的に事前リサーチを書籍やウェブで行い、自分なりの疑問や仮説を持つことができたら、とにかく人に会って話を聞きまくるという習慣を作りましょう。
これからご紹介するのは、私が就職や退職、転職といったキャリアを変えるときにいつも行っているおすすめのアクションです。ぜひ参考にしていただき、リスキリングに向けた最初の一歩を踏み出してください!
定年目前、定年後の方10人の話を聞く
リクルートワークス研究所の研究員である坂本貴志さんが書かれたベストセラー『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』を読むと、リアルな定年後の生活を把握することができます。現在の60〜70代の方々がどのような仕事をされているのかも出てきますので、現在所属している組織で働いていくとどのような生活になるのか、イメージする際の参考になると思われます。
また、定年後のお金、働き方にまつわる書籍もたくさん出版されているので、自分が関心の高いテーマに沿って、まず書籍からインプットすることをおすすめします。
続いて、家族、親戚、上司、どんな関係性でもよいので、実際にリアルなお話を聞くことをおすすめします。最低でも10人、直接お話を聞いてみてください。できれば、自分が理想とするキャリアを歩んでいる方と、反面教師的に自分はこういう働きをしたくない、という方のお話を両方伺うことができると、より自分の将来像が現実的に考えられるのではないかと思います。
自分の手が届く範囲で話が聞ける方々というのは、一説によると、「自分の将来の姿である可能性が高い」そうです。何でも話してくれるかどうかは関係性にもよると思いますが、定年後の生活の満足度、時間の使い方、収入、これからやりたいことなど、気になることを聞いてみてください。それが理想的であるにせよ、そうでないにせよ、リアルなお話を通して、現実を把握することができます。
