2013年の創業以来、銘柄鶏の焼き分けや自然派ワインとの合わせをいち早く提案し、予約困難店へと上り詰めた『とり茶太郎』。
同店をこよなく愛する美食家・大崎裕史さんが教えてくれた“11のワード”でその魅力を探る。
ラーメン評論家として知られるが、実は大の焼き鳥好き。
「東京で行ったことのある焼き鳥店は268軒、全国だと349軒」という筋金入りの焼き鳥マニアだ。
駅前の騒がしさとは無縁の、渋谷のエアポケットである鶯谷町に『とり茶太郎』はある。
食通が毎夜押し寄せ、「落ち着いた住宅街へ向かうという立地が隠れ家的でいい」と話す大崎さんもそのひとりだ。
料理はおまかせコース1本だが、仕込みの量は基本の20品にコース外の追加分と膨大。
「食べてもらいたい串が多くて、初期の頃より量が増えてしまった」と笑う店主・金子拓也さん。そんな貪欲な焼き鳥への探求心が、客を虜にしてやまない。
「6人のスタッフの連携も素晴らしく居心地がいい」と、接客も太鼓判を押す。
「予約が取りづらいこと」以外欠点が見つからない、渋谷の奥地の桃源郷。焼き鳥好きなら、一度は暖簾をくぐりたい名店だ。
金子さんの焼き台との向き合い
店主の金子さんがいつも焼き台に向き合っている。無駄話をせず常に集中。かといって、話しかけると適切に疑問や質問に答えてくれる柔軟さも持ち合わせる。
串と対峙しつつも、堅苦しくなく程良い距離感を保ちながら、お客さんにリラックスして楽しんでほしいという姿勢が表れている。
エアカーテン
実はカウンターと焼き台の間に、目には見えないエアカーテンが設置されている。
下から強い風を送り、透明な空気の壁を作ることで、煙が客席に流れてこないという仕組み。焼く瞬間がよく見えるから臨場感がある。
薬味
昔の焼き鳥はタレか塩、というのがほとんどだったが、ここはわさび、柚子胡椒、粒マスタード、玉ねぎソースなど薬味の種類も豊富で斬新。そして新鮮!
コースの緩急
おまかせコースが緩急自在で最後まで飽きさせない。複数の銘柄鶏や鴨、野菜を使い分け、焼き鳥一辺倒ではないところが“料理店”に来た気分になれるのも満足度が高い。
〆の追加で量の調整が可能なので、少食も大食いもお腹いっぱいで帰ることができる。
ほろほろ鳥
金子さんが修業先の『蒼天』で出合ったという「ほろほろ鳥」。
最近はこの銘柄を扱う焼き鳥店が増えてきたが、金子さんはその先駆者。中でも白レバーは至高の逸品!
ラーメン、鴨、しじみ
私は「日本一ラーメンを食べた男」と自負しているが、『とり茶太郎』のラーメンは旨い。
出汁はしじみ。ラーメンのためだけにしじみを仕入れるこだわりようで、約15杯分で1.5kg使用する贅沢さ。麺も京都の老舗製麺所から取り寄せ。週2くらいで鴨だしラーメンが登場する日も。
レアもの
その日の仕入れ次第でメニューが変わるので、希少部位に出合えた時の嬉しさは半端ない。また追加注文で予定されているレアものも必食で、ソリレスや背肝があれば必ず頼む。
鴨の胸腺を味わえるのも、焼き鳥店ではかなり珍しい。過去には小鳩が出たこともある。
食べ比べ
銘柄違いの同じ部位を1本の串で提供されることがあり、それがまた楽しい。
例えばソリレスは「ほろほろ鳥と名古屋コーチン」だったり、日によって「比内地鶏と軍鶏」だったり。時には同じ鶏の同じ部位、例えばもも肉で、異なる熟成期間を食べ比べできることも!
野菜が美味しい
厨房のテーブルの上に野菜がたくさん盛られていて食欲をそそられる。
産直だったり地方から取り寄せていたりと、どれも美味しいがオススメはトマト。最初に焼いてから皮を剥き、仕上げの焼きを入れて完成。野菜の甘さと焼きが素晴らしい。
豊富な飲み物
私は柑橘系のサワーを飲むことが多いが、日本酒や焼酎、ワインはクラシックとナチュラルがあり品ぞろえが豊富。客の好みに合わせて提供してもらえるのがいい。
東カレの副編集長はシャンパン一択らしい。
焼き鳥だけど……
焼きが基本だが、その仕上げの形態は焼き方により“揚げ”や“蒸し”に変わるのが面白い。胸肉の揚げ出しや蒸し野菜などあの手この手で楽しませてくれる。
“焼き”においても鶏スープや鶏油などを塗り、串ごとに丁寧な仕事を施している。
ほろほろ鳥の「白レバー」。
雑味のないきれいな味わいで、フワフワの食感がまるでフォアグラ。
比内地鶏と鴨のもも肉100%の「椎茸の肉詰め」。刻んだ青唐辛子を加えることも。
卸しにこだわりを伝えて集めてもらう「胸腺」。
クリーミーな味わいと13年継ぎ足しのタレが美味しさを昇華させる。
ほろほろ鳥の「手羽飯」。この日の中身は行者ニンニクと味噌。
ラーメン評論家も絶賛の〆のラーメンは小サイズやそぼろ丼とのハーフ&ハーフも可。


