老いていくのがすごく嫌な49歳男性。孤独な老後を恐れる相談に、佐藤優が贈る「そのままでいい」という答え

老いていくのがすごく嫌な49歳男性。孤独な老後を恐れる相談に、佐藤優が贈る「そのままでいい」という答え

―[佐藤優のインテリジェンス人生相談]―

“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、読者の悩みに答える!今回は、老いていくことが嫌でたまらず、孤独な老後を恐れる49歳男性の相談について。自身も66歳で高齢者となった佐藤が示した、肩の力を抜くための答えとは――。

◆僕は「老いていく」のがすごく嫌です

★相談者★ 1人が好き(ペンネーム) パート 49歳 男性

 僕は男でいい年した中年ですが、トランスジェンダー手前であり、老いていくのがすごく嫌な男です。また、ガリガリな体でなければ気が済まず、見た目はすごく細く髪の毛もピン留めをしていて女っぽいです。しかし、何もいいことはありません。体力がなくパートでしか働けませんし、女性にもモテません。このままではすぐに還暦となり孤独な独身男になります。大嫌いな老人になります。人生を変えるにはどう行動すればいいですか?

老いていくのがすごく嫌な49歳男性
※画像は生成AIによるイメージです

◆佐藤優の回答

 私は現在66歳ですでに高齢者のカテゴリーに入っています。体は衰えてきたので、以前より病院通いは増えています。腎臓移植を受けた関係で、免疫抑制剤を毎日飲んでいましたので、今も腎盂腎炎でツラい思いをしながらこの原稿を書いています。

 私にしても「こういう老人にはなりたくないな」というタイプの人がいます。ジャーナリストの若月澪子氏が紹介するこんな人です。

〈「私は慶應義塾大学出身で、会社を辞める時は常務理事だったんだよ。東大の大学院もね、行かんかねと言われて出ているんだから」/こう話す大阪府在住のTさんは、自称67歳のシニアである。出会ってすぐにこうしたことを言う人は、なかなか信用しづらい。(中略)個人に取材をしていると、相手がどこまでが本当のことを話しているのか、信ぴょう性が確認しにくいという問題はある。しかし、たいていの人は2~4時間ほど話したり、数日行動を共にすると、嘘はないと判断できる。長時間話をすれば、嘘をついている人は必ずどこかでボロが出るからだ。/ただ、Tさんは最初から怪しいと思わずにはいられなかった。お子さんの年齢を聞いたら、「現在50歳だ」という。それが事実とすれば、67歳のTさんは、高校時代に子どもを授かったことになる。そのことを尋ねたら、「学生結婚だから」という返事だ。/「退職金は5000万円もらったよ。一流企業だからね。がっぽり出たよ。高校時代に子どもに4500万円ずつあげたからね。留学させたから全部なくなった。1億円くらい金があったんだから」〉(『ルポ過労シニア』195~196頁)

 講演会や勉強会の後、私を引き留めて、こういう話を長々とする人がいます。私は、こういう人の話に疑問を差し挟み、相手を追い込むようなことはしません。子供の頃から偏差値競争、社会人になってからは出世競争でくたくたになってしまった、なれの果てに思えるからです。私の同世代にもこういう人たちがたくさんいると思います。この程度の法螺を吹くことで、本人の気持ちが安定するならば、それでいいというのが私の考えです。

 あなたは、「ガリガリな体でなければ気が済まず、見た目はすごく細く髪の毛もピン留めをしていて女っぽいです。しかし、何もいいことはありません。体力がなくパートでしか働けませんし、女性にもモテません」といいますが、そのままでいいんじゃないでしょうか。誰かに迷惑をかけているわけではありません。今のままでそれなりに充実した老後を送ることができます。

★今週の教訓……誰にも迷惑をかけない、あなたはそのままでいい

『ルポ過労シニア「高齢労働者」はなぜ激増したのか』
年金では暮らせないシニア、終わらない子育てに追われるシニアの実態を、『副業おじさん』の著書で話題を呼んだ労働ジャーナリストが徹底ルポ。’25年刊
※今週の参考文献『ルポ過労シニア「高齢労働者」はなぜ激増したのか』若月澪子 朝日新書

―[佐藤優のインテリジェンス人生相談]―

【佐藤優】
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数
配信元: 日刊SPA!

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