「お腹一杯食べさせられず」困窮子育て世帯の食費“1日500円未満”…調査結果に支援団体が危機感、公的支援の拡大を訴え

「お腹一杯食べさせられず」困窮子育て世帯の食費“1日500円未満”…調査結果に支援団体が危機感、公的支援の拡大を訴え

「物価高騰でも、給料は上がらず、子どもたちは食べ盛りなのに、お腹一杯食べさせてあげれずにいます」「今まで買えていたものや食材が今では高すぎて手が出ません」「満足に食べられず、心が貧しくなりそうです」

子ども支援活動を行う国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」が行った実態調査の自由記述欄に、全国の経済的困窮子育て世帯から、家計の苦しさを訴える声が多く寄せられた。

同調査からは、経済的困窮子育て世帯での1人あたり1日の食費平均額が500円を下回ることもわかった。これは、世界銀行が定める国際貧困ライン(絶対的貧困)に迫る金額で、セーブ・ザ・チルドレンは国に対し、早急な経済的支援の拡充と食料支援の強化を求めた。

ひとり親世帯の貧困率「先進国の中で最低水準」

先月30日、セーブ・ザ・チルドレンが東京都内で会見を開き、今年6月1日~18日に行った経済的困窮子育て世帯における「食と生活」実態調査の結果を報告した。同調査は、セーブ・ザ・チルドレンが実施する食料配布に申し込んだ47都道府県、約8700世帯を対象に行われた。

調査は、ひとり親世帯の女性からの回答が9割を占め、女性保護者の就業状況は6割弱が非正規雇用だった。

会見に出席した、子ども・女性の貧困に詳しい、跡見学園女子大学の鳫(がん)咲子教授は「厚生労働省の『国民生活基礎調査』(2025年)でも、ひとり親世帯の貧困率が44.7%であることが示されています。この水準は先進国の中で最低水準です」と説明。

そのうえで、「今回の調査では、1人あたり1日の食費平均額が500円を下回るという大変衝撃的な結果が出た。世界銀行が定める国際貧困ラインは、1人あたり1日の生活費が3ドル(約487円)であり、日本の貧困がかなり深刻な事態になっていることをご理解いただきたい」と述べた。

食事量足りず…子どもの成長や健康状態にマイナスの影響

調査結果によれば、約9割の世帯が物価高により十分な食料を買うお金がないと回答。さらに、6割以上の世帯が赤字で、26.2%が借金をして、36.9%が貯金を取り崩して生活していると答えた。

「子どもが十分な量の食事がとれていると思いますか」という問いでは、朝食で40%以上、給食がない期間の昼食では45%以上の世帯が「あまりとれていない」「とれていない」と回答した。

こうした世帯からは、子どもの成長や健康状態にマイナスの影響を感じるという声が上がった。

具体的な影響としては、子どもの空腹の訴えが最も多く半数を超え、約4割が体調を崩しやすいと回答した。また、3分の1以上の世帯が「子どもがやせている傾向にある」「空腹でやる気がおきない、集中できない」「空腹でイライラする」と選択した。一方、手軽に取れるインスタント食品に頼りがちになり肥満傾向にあるという声も一定数あった。

「過去1週間に給食以外で子どもが十分な量の米を食べていると思いますか」という問いに対しては、米不足に伴う米価格の高騰が続いた昨年調査よりやや改善がみられ、「十分食べている」「まあまあ食べている」と回答した世帯が6割を超えた。しかし、4分の1以上の世帯からは「あまり食べていない」「ほとんど食べていない」と回答があった。

調査を担当したセーブ・ザ・チルドレンの田代光恵氏は「主食である米すらも十分に取れていない世帯があることは、子どもの健やかな発達を保障する観点から非常に深刻だと受け止めています」と述べ、併せて「給食のない夏休みに入り、子ども達が十分な栄養を摂取できない状況が深刻化しているのではないか」と危機感を示した。

給食無償化も課題は山積

国は今年4月から、公立小学校に通う小学生を対象に「学校給食費の抜本的な負担軽減」(いわゆる給食無償化)をスタートさせた。さらに、こども家庭庁では、夏休み期間についても、放課後児童クラブ(学童クラブ)での昼食提供の普及に力を入れている。

しかし、今回の実態調査では、小学生以上の子どもや不登校等で学校に通っていない子どもたちに対しても食の支援を求める声が多く上がった。さらに、経済的な理由で学童クラブの利用を控える世帯があることも明らかになった。

前出の鳫教授は「学童クラブの月額利用料は、平均額を推計すると毎月約7000円ほどかかり、所得等に応じた利用料の減免もない場合が多い。この費用は中学生の月額給食費の平均を上回る。学童クラブでの昼食提供をするのであれば、まず学童クラブの費用無償化が先行する課題ではないか」と指摘した。

今回、セーブ・ザ・チルドレンが食料配布を行った世帯は約8700世帯、子どもの人数にして約1万5000人に上る。しかし鳫教授は、支援が届いていない世帯・子ども達が大勢いると強調する。

所得に応じて学用品や給食費を支給(一部・全額)する自治体の「就学援助」を利用している小中学生は国内に約117万人いる。

「民間の子ども食堂や食料配布支援などは、サービスがあることを知らないという方も多いです。民間が行っている取り組みを参考として、国や自治体が公的な支援を拡大する時期に来ていると考えています」(鳫教授)

配信元: 弁護士JP

あなたにおすすめ