簡単な操作で窓ガラスの開閉ができる「パワーウインドウ」。日本の乗用車ではほぼ標準装備と言える便利な機能だが、子どもが体の一部を挟まれる事故が継続的に発生しており、国民生活センターが注意を呼び掛けている。
パワーウインドウは、車種によっては約30キロを持ち上げる力(300ニュートン)があるといい、大根やごぼうなどであれば切断されてしまうほどの強さだ。簡単に操作できる反面、子どもが遊びでスイッチを動かしたり、運転者が車内の状況をよく確認しないまま動作させたりすることで、死亡事故や窒息、骨折などの重篤な被害につながっている。
後方確認の不足や子どもによる操作で事故が発生
国民生活センターによれば、パワーウインドウによる事故情報は継続的に報告されているといい、一部では報道されるような重大な事故も発生している。
たとえば、2024年には女児が首を挟まれ死亡する事故が発生した。保護者が運転席のパワーウインドウのスイッチを操作した際、右後部座席にいた女児の首が窓ガラスに挟まれた。意識不明の状態で救急搬送されたが、約1時間半後に死亡が確認された。
保護者は女児が乗車していた右後部座席以外の窓を閉めたつもりだったが、後方の確認をしていなかったという。女児がチャイルドシートまたは座席の上に立ち、窓から顔を出していたところを挟まれたとみられている。
また、子ども自身がスイッチを操作して事故に発展したケースもある。
保護者が運転する車の後部座席で男児は窓を開けるなどして遊んでいたというが、保護者が車を止めようと後ろを見た際、右後ろの窓ガラスに首が挟まれている状態で見つかった。男児は病院に運ばれたが、意識不明の重体だった(事故当時の報道による)。保護者は左後部のチャイルドシートに男児を乗せたが、発見時はシートから離れていたという。
死亡や意識不明といった重篤な事故に至らなくとも、以下のようなけがを負う事例も起きている。
・男児がパワーウインドウを操作し、誤って右手小指を挟み負傷。
・パワーウインドウに左中指を挟まれ、左中指の第1関節を部分断裂。
・男児が窓ガラスから顔を出しているのに気付かず、保護者がパワーウインドウを動作させ、男児の首が車窓上部に挟まれ救急搬送。
事故の約5割が「運転席からの操作」
国民生活センターが行った消費者調査では、500人中42人が「同乗中の乳幼児がパワーウインドウに挟まれた経験がある」と回答した。
実際に挟まれた事例を分析すると、約5割が運手席からのスイッチ操作で発生していたことがわかった。
さらに、乳幼児が挟まれた(または挟まれそうになった)経験があると回答した人の約半数で、以下のような「チャイルドシートの不適切な使用」があった。
・チャイルドシートのベルトが外れていた
・対象年齢に合っていないチャイルドシートを使用していた
・ベルトを使用していなかった
・チャイルドシート自体を使用していなかった
連休中のドライブ前に見直したい「予防策」
こうした調査結果を踏まえ、国民生活センターは「乳幼児を同乗させる際は、チャイルドシートを正しく使用し、チャイルドシートのベルトを確実に装着すること」を強く呼びかけている。
パワーウインドウに「挟み込み防止機能」が備え付けられている車種もあるが、運転席以外の全席に備わっている車種はまだ一部に留まっている。
子どもが乗車する際は運転席の「ロック機能」を活用し、子ども自身によるスイッチ操作を防ぐことも重要だ。
また、運転者自身もパワーウインドウを操作する際は、「どの窓を閉めようとしているのか」「危険はないか」を事前に目視で確認することが大切だろう。
お盆休みなど長期休暇中は、家族でのドライブや渋滞により、普段以上に車内で過ごす時間が長くなりやすい。道路上の交通事故対策はもちろんのこと、こうした「車内で起こりうる事故」にも常に気を配っておきたい。

