◆「とまり木のようなBar」を目指す

あいり:私はパンセクシャルといって、すべての性別を恋愛対象とする人間です。成人するまでは女性としか交際をしたことはありませんでしたが、男性に対しても「あの男の人いいな」と思う瞬間はありました。成人を超えたあたりで、芸能界で男性と関係を持つ機会があり、現在の性的嗜好を強く自覚するようになりました。
これまでお話してきたような経緯もあり、精神的に落ち込むことも多くありました。ただ“あいり”でいるときは、人を優しく包み込んで守れる自分でいたいという思いがあります。私のなかの鬱屈を抱えた部分は本名の自分に置いてきたイメージです。
――今後の展望があれば教えてください。
あいり:芸能界でも吉原でもそうですが、きらびやかな世界に憧れる時点で、もしかすると実生活に何か満たされないものがあって、それを昇華させたくてやってくるのかもしれません。孤独感を抱えている人も多いのだと思いますし、かつての私がそうであったように、病む人も少なくないでしょう。訪れた人たちが「内面を見せてもいいかな」と思えるような、そんなとまり木のようなBarに成長させられればいいですよね。
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人生に悩んだとき、誰かひとりでも心の声に耳を傾けてくれれば、おそらく奈落までは突き進まない。優しくて、少しの後悔を含んだあいりさんのお節介。春をひさぐ女性たちの人生を見つめるその眼差しの根底には、愛が満ちている。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

