中国国産旅客機C919、ボーイング・エアバスの牙城を崩せるか 初の国際線を運航

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中国商用飛機(COMAC)の中型機「C919」(2024年2月)|Aerospace Trek / Shutterstock.com

 中国商用飛機有限責任公司(COMAC)のC919型機が12日、初の国際線商業飛行に成功した。ボーイング社とエアバス社の二大メーカーが支配する世界の旅客機市場で、中国国産機がライバルと競合し、その存在感を示すことができるかが注目されている。

◆乗り心地上々 世界市場を目指せ
 中国国産旅客機による初の国際線定期便として注目された中国国際航空(エアチャイナ)723便は、12日午後3時過ぎに北京首都国際空港を離陸。モンゴルのウランバートルに向かい、約2時間後に無事着陸した。サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙(SCMP)の取材に答えた乗客によれば、フライトはとてもスムーズで欧米の航空機と比べても遜色ない乗り心地だったという。

 利用されたC919型機は、COMACが製造した最大174人収容のナローボディー機(通路が一つしかない旅客機)で、ボーイング737MAXやエアバスA320neoと同じ幅広い市場ニーズを対象に設計されている。現在は中国国内の主要航空会社により、26都市を結ぶ58路線で運航されており、今後はボーイングとエアバスという二大メーカーに対抗する航空機になることが期待されている。

◆部品は外国製 国産旅客機とは言えず?
 もっとも、中国機が既存の大手メーカーに世界市場で実質的に対抗できるようになるには、数世代を要するという見方が多い。英ガーディアン紙は、中国は電気自動車やロボットといった分野で飛躍的な進歩を遂げ近年世界市場で台頭しているが、航空機に関しては、これまでの進捗のペースは遅かったと指摘している。

 その理由としてあげられるのが、航空機製造の複雑さだ。航空機産業には多種多様な先端科学技術や工学の統合に加え、海外からの部品調達が必要だが、米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の2020年の分析では、C919のサプライヤーの半数以上がアメリカに拠点を置いていたことが判明している。

 また、国際的なサプライヤーは、複雑な部品とソフトウェアを統合し飛行に適した商用機とするための指導も提供してきた。こういったことから、CSISのスコット・ケネディ氏は、C919を「中国の航空機」と表現するのは誤解を招くと指摘し、ボーイングやエアバスの本格的ライバルとなることは、たとえ1世代先であっても可能性は非常に低いとの見方を示した(ガーディアン紙)。

 生産規模も問題とされている。C919には国内の航空会社やリース会社からの受注残がかなりあるが、生産が追いついていないという。独立系シンクタンク、メルカトル中国研究所のアナリスト、アンドレアス・ミッシャー氏によれば、COMACが2025年末までに納品したC919は累計32機で、今年上半期にさらに8機を納品したという(CNBC)。2029年までに年間200機の生産を目指すという同社の目標からは程遠いと述べている。

◆信頼得られるか? 道のりは長い
 もう一つの課題は、海外での認証取得と運航支援体制だ。CNBCは、C919がアメリカやヨーロッパの主要な航空規制当局からの認証を受けていないため、多くの海外市場で顧客を獲得する能力は限定的だとしている。また、航空機が就航した後も適切なサポートを提供できることを、COMACは航空会社に納得させる必要があると述べている。

 米ブルッキングス研究所で中国の産業政策を専門とするカイル・チャン氏は、世界には基本的に2社しか主要な民間航空機メーカーが存在しないのには理由があると述べ、安全で信頼性の高い大型旅客機を製造することは、EVよりも桁違いに難しいとした。また、COMACが航空会社や乗客からの信頼を得るまでには、まだ長い道のりがあると指摘している。(ガーディアン紙)

 C919の開発に携わった中国航空分野の第一人者、張彦仲氏も、商業的成功を収めるまでにはまだ長い道のりがあると述べた。その上で「道のりは困難に満ちているかもしれないが、巣立ったばかりの鷲は親より速く飛べる」と述べ、中国の若いエンジニアにその才能を航空分野に捧げてほしいと呼びかけた。(ガーディアン紙)

配信元: NewSphere

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