トランプ氏はなぜオマーンを爆撃で脅すのか 海峡を巡る駆け引き

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大統領専用機に搭乗するトランプ米大統領(8月16日)|Julia Demaree Nikhinson / AP Photo

 アメリカのドナルド・トランプ大統領がイランに怒りを募らせていることは、世界中が知っている。だが、イスラム共和国イランとホルムズ海峡を挟んで向かい合う小国オマーンにも、不満を抱いている。

 オマーンはイラン戦争が始まって以来、仲介役を務めるなど、比較的目立たない役割を果たしてきた。だが、その地理的条件のために、海峡の管理をめぐってイランと交渉する一方、トランプ氏の脅しにもさらされるという難しい立場に置かれている。

 トランプ氏は今週、FOXニュースのトレイ・イングスト記者に対し、オマーンが「邪魔をする」ならアメリカはオマーンを爆撃すると述べ、卑語を交えて強調した。同様の脅しは今回が初めてではない。オマーン外務省は、トランプ氏の脅しについて、またオマーンとイランが合意に関する共同声明をいつ発表する見通しかについて電子メールで寄せた質問に、直ちには回答しなかった。

 アメリカとイランの綱引きのはざまに立つオマーンの現状を見てみる。

◆まとまりつつあるオマーン・イラン合意に不満のトランプ氏
 トランプ氏がオマーンを脅したのは、同国がホルムズ海峡をめぐってイランとの合意に近づいていることに不満を抱いているためだと、地域当局者2人が18日に明らかにした。

 トランプ氏には圧力がかかっている。同氏は短期決戦とイランの弱体化、さらにイランの核開発計画をめぐる、より有利な合意を約束した。ところが実際には、イランはホルムズ海峡を交渉上の新たな武器として利用し、戦争前には国際航路とみなされていたこの海峡の支配権を主張している。

 アメリカとイランの交渉は途絶えている。両国が暫定合意に署名した時点で始まった60日間の期間は今週、期限を迎えた。より詳細な協議につなげるために設けられていた期間だったが、延長される兆しはない。トランプ氏は現在、イランとの協議の予定はないとしている。

 したがって、現在進行中であることが確認されている協議は、海峡の船舶航行をめぐるイランとオマーンのものだけだ。協議は数週間にわたって続いているが、オマーンは公にはほとんど語っていない。イランは、双方が共同声明の最終調整を進めていると説明している。イラン側はそれほど急いでいないとの見方が広がっている。

 トランプ氏はこれまで、イランに繰り返し脅しをかけてきた。今度はそのいら立ちをオマーンにも向けている。

◆和平を模索してきたオマーン
 人口500万人強のオマーンは、湾岸地域では比較的控えめな外交姿勢を取る国の一つだ。アメリカ軍による国内施設の利用を認めているが、アメリカ政府は、防衛関係の規模はアラブ首長国連邦など湾岸の近隣国と比べて小さいとしている。

 ほかの湾岸諸国がイランから激しい攻撃や非難を受けてきたのとは異なり、オマーンはこの戦争中、同じような標的にはなっていない。ワシントンに拠点を置くクインシー国家責任研究所は、オマーンの港がドローン攻撃の標的になったことはあるものの、イランは犯行声明を出しておらず、オマーンもイランを非難していないと指摘する。また、オマーン領内にミサイルが着弾したことはないとしている。

 オマーンの指導者たちは長年、イランとの対話を重視してきた。同国は仲介活動にも関わってきたが、現在はカタールとパキスタンがその役割を主導している。

 暫定合意が署名されて以来、世界の関心は以前にも増してオマーンに向いている。署名から間もなく、イランがオマーン沿岸付近で、アメリカが支援する航路を通ってホルムズ海峡を航行しようとする船舶への発砲を始め、それまでの比較的平穏な状況は崩れた。

 現在、オマーンはイランが主導しているとみられる協議に臨んでいる。イランは協議の目的について、「両沿岸国の主権的権利と主権、ならびにイランの安全保障と国益を尊重しつつ、ホルムズ海峡の安全な航行を確保するための仕組みを構築する」ことだと説明している。この仕組みには通行料の徴収が含まれる可能性がある。

 地域当局者によると、まとまりつつある合意案では、船舶がイランの管理する航路を通ってペルシャ湾に入り、オマーンが管理する航路を通って湾外へ出ることが求められているという。ただ、合意の成立には、アメリカがイランの港に対する封鎖を解除することが前提になるとみられる。

 オマーンは今月上旬、協議について「前向きかつ建設的な雰囲気の中で進んでいる」と説明した一方、同じ声明で、海峡を通航する船舶への相次ぐ攻撃を非難した。

 18日にオマーンの外相とエジプトの外相が会談した後、エジプト側は、イランとオマーンの合意が、アメリカとイランが「すべての懸念に対処し、地域の安全保障と安定を強化する包括的かつ恒久的な合意」を目指す交渉の再開につながる可能性があると述べた。

◆トランプ氏の脅しの影響は不透明
 オマーンは、強大な軍事力を持ち、互いに譲らない2つの勢力の間に挟まれている。一方、船舶への攻撃リスクがなお残るなか、石油や天然ガス、関連製品の海峡を通じた輸送量は減少したままだ。

 トランプ氏の最近の脅し以降も、国営オマーン通信は、マスカット証券取引所やスポーツ、コーヒーや紅茶の輸入など、別の話題を伝え続けている。外務省の声明も、外交会談やあいさつなどに焦点を当てている。

 トランプ氏の脅しが、合意の最終確定と発表を両国に急がせることを含め、オマーンとイランの協議に何らかの影響を及ぼすかどうかは明らかではない。

 しかし明らかなのは、中間選挙が近づき、世界経済がイランに握られた海峡の動向に事態好転の兆しを探るなか、トランプ氏が政権にのしかかる圧力をオマーンに向けているということだ。

By CARA ANNA Associated Press

配信元: NewSphere

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