◆エンターテイメント性を重視する「くら寿司」
くら寿司は1977年に個人経営の寿司店として堺市で創業しました。84年に回転寿司事業に参入し、ボックス席を導入して家族連れを取り込みました。2000年に「ビッくらポン!」を導入し、子供連れを中心に支持を獲得していきます。22年10月にはスシローと同様、最低価格100円での提供を終了しました。くら寿司の特徴はエンターテイメント性を重視している点です。コロナ期間中では鬼滅の刃とのコラボで業績が急成長しました。もともと郊外型ということもあり、コロナ期間中では回転寿司が外食の中でも好調でしたが、コラボ企画はくら寿司の売上を押し上げました。また、4大チェーンの中で唯一、レーンで注文品以外の寿司を流す「リアル回転寿司」を継続しています。くら寿司によると、リアル回転寿司は「楽しい」「子供が喜ぶ」などの評価を得ているようで、エンターテイメント性重視の姿勢が窺えます。
また、近年では浅草や押上などに「グローバル旗艦店」を開店。同店舗は和を意識した内装で、店内には様々なレジャー要素があり、インバウンド客で賑わっています。
◆人気の根幹はやはり高品質「スシロー」
スシローは84年に大阪で創業し、96年から100円均一の店舗を出店しました。関東に進出したのは2001年です。4大チェーンの中では寿司の品質に注力している印象があります。22年まで最安メニューを100円で提供していましたが、黄・赤・黒と価格ごとに色を分けており、客単価が比較的高いのが特徴です。2018年時点で黄・赤・黒の皿をそれぞれ税抜100円・150円・300円で提供していました。23年には黒皿を260円に下げつつ、「時価」で価格が変わる白皿を追加しています。以前より高単価メニューを投入していたため、やはりスシローは4大チェーンの中でも品質が評価されています。最近ではネタの縮小が目立ちますが、以前は他社よりも比較的大きめでした。他社が安売りで競争する一方、スシローは高単価メニューを充実することで品質を訴求したのです。
23年1月、スシローを迷惑動画事件が襲います。客が寿司に唾液を付着させるなどの行為を撮った動画が拡散され、イメージダウンにつながりました。同事件以降、回転レーンでの寿司の陳列を停止し、現在に至るまでレーンで流すのを注文品に限っています。コロナ禍以降、回転レーンでの陳列を終了・自粛する流れがありましたが、同事件は注文品以外の終了を加速させました。スシローは一部店舗で大型パネルによる「デジロー」を導入し、画面上で回転寿司を再現しています。

