◆血統トレンドから見る今年の秋華賞
実はフェブラリーSから始まった2025年のJRA・G1戦線には興味深い傾向がある。春は大阪杯までキングマンボ系ロードカナロアの産駒がG1を3連勝。4連勝を懸けた桜花賞はサンデーサイレンス(SS)系のアドマイヤマーズを父に持つエンブロイダリーが勝利したが、皐月賞から再びキングマンボ系のリオンディーズ、ルーラーシップ、タワーオブロンドンの産駒が3連勝を飾った。
春G1前半戦のNHKマイルCを終えた時点でキングマンボ系が6勝、SS系が1勝という偏った傾向が出ていた。
ところが翌週からその傾向が様変わり。SS系のダイワメジャーを父に持つアスコリピチェーノがヴィクトリアマイルを制覇すると、ブラックタイド、キタサンブラックとSS系産駒の2頭がオークスとダービーを連勝した。
続く安田記念はミスタープロスペクター系のジャンタルマンタルが勝利したが、宝塚記念は再びSS系のメイショウタバルが優勝。春のG1後半戦はSS系種牡馬が多くの勝ち馬を輩出した。つまり春G1の前半はキングマンボ系、後半はSS系が席巻していたということになる。
そして迎えた秋のG1初戦のスプリンターズSはキングマンボ系でもSS系でもないロベルト系種牡馬のスクリーンヒーローを父に持つウインカーネリアンが勝利。この流れなら、秋華賞はロベルト系の馬に注目したいところ。それに該当するのがエリカエクスプレスとジョスランの2頭というわけだ。
もし、どちらかが秋華賞を制するようなら、次週の菊花賞もロベルト系で唯一登録のあるジョバンニの激走が見られるかもしれない。まずは秋華賞でエリカエクスプレスとジョスランの走りに注目したい。
文/中川大河
【中川大河】
競馬歴30年以上の競馬ライター。競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。競馬情報サイト「GJ」にて、過去に400本ほどの記事を執筆。

